皮膚とホルモン
内分泌ホルモンのバランスが崩れると皮膚のトラブルを起こすことがあります。
①甲状腺ホルモン皮膚の毛周期の成長期が開始するのに必要なホルモンですので、甲状腺ホルモン低下症(シニアに多い)になると、毛が薄くなったり、脱毛して毛がはえてこなかったりと、休止期性脱毛がおこります。
また、甲状腺ホルモンが低下しますと、好中球やリンパ球といった、からだをバイキンから守ってくれる白血球の機能が低下するため、皮膚の膿皮症[皮膚の細菌感染)が併発します。
甲状腺からのT4分泌を促進する下垂体ホルモン(TSH)は、T4という甲状腺ホルモンが低いと、それを体からださせたいため、がんばる、、ということで、TSHが高くなります。
薬剤の影響でT4が低い検査結果になることがあります(グルココルチコイド、フェノバルビタール、サルファ系抗菌剤)4-8週間の休薬後の検査が推奨されます。
②副腎皮質ホルモン
副腎皮質機能亢進症になると、グルココルチコイドがたくさん体にでることによって、
やはり、毛が薄くなります
③性ホルモン
エストロジェンは、雌も雄の両方で分泌される女性ホルモンです。
なんで、オス?て思われるかと思いますが、
エストロジェンは、卵巣だけでなく、副腎皮質、精巣でも産生されているからです。
エストロジェンが増加すると、皮膚の色素沈着、皮脂腺の委縮、毛周期が休止期で停止するといった、皮膚のトラブルの原因になったりします。
アンドロジェンは、オスもメスにも分泌される男性ホルモンです。
これも、精巣だけではなくて、副腎皮質でも産生されているので、メスでももっています。
アンドロジェンが過剰になりますと、肛門周囲腺や尾腺の過形成が生じることがあります。
このホルモン検査で、
もしも
オスが高エストロジェンだったら、
精巣の腫瘍の可能性があります。
メス猫で高エストロジェンだったら、副腎腫大が疑われます
未去勢のオスで高アンドロジェンだったら、
精巣腫瘍が疑われます
雌猫で高アンドロジェンだったら、副腎腫大が疑われます。
黄体ホルモン(プロジェステロン)
雄もメスで分泌され、卵巣や副腎皮質から分泌されています。
血液中のプロジェステロンが高いと、脱毛、皮膚が薄くなる、傷が治りにくいといったことがあります。
免役抑制作用をもちます。
避妊していないメスは、発情の後は、黄体ホルモンが高くなります。この時期に子宮の病気になったり、皮膚のトラブルがみられることがあります。
ということで、
避妊去勢すると、皮膚がかわってしまうことがありますが、
避妊去勢することで、皮膚のトラブルがなくなることもあります。
ホルモンのバランスって大事ですね