潜在精巣
オスのワンコさんで、
タマタマがおまたにおりてこないことを潜在精巣といいます。
性成熟を迎える月齢になっても、精巣が陰嚢内におりてこない状態です。
1)原因
精巣は、胎児のときに左右の腎臓の後ろにつくられ、それが、鼠径管をとおって、おなかの中から、おまたのところの鼠径部の皮下にでて、さらに、陰嚢の中におりていきます。
①その過程で、
精巣導帯が未発達だったり、通り道の鼠径管が閉鎖していたり、していると、精巣がおりてこれません。
②精巣がおりていくには、精巣から分泌されるアンドロジェンの働きが必要なので、アンドロジェンが不足している
③遺伝性の疾患です。
発生率は品種によって、異なります。1.7%くらいといわれています。
2)繁殖に支障がでます。
日常生活に困ることはありません。
潜在精巣があると、おなかに残っていたり、鼠径部皮下(おまたの奥のところ)に残っていると、陰嚢よりも高い温度にあるので、精子形成ができません。
つまり、繁殖能力がありません。
3)腫瘍になりやすい
潜在精巣は、高温環境のところに、長期間いることによって、腫瘍が発生しやすいのです。
精上皮腫(セミノーマ)
セルトリ細胞腫(70%以上、これ)
間質細胞腫(良性)
腫瘍の発生率は、陰嚢内にある精巣の10倍以上も高いといわれています。
年を取ってから腫瘍になりやすいです。
4)セルトリ細胞腫の症状
エストロジェンが過剰分泌されるので、
男の子なのに、乳頭が大きくなります。
毛が左右対称に抜けていきます。
腫瘍でないほうの、片側の精巣が小さくなります。
非再生性の貧血になります。
5)治療
潜在精巣の除去(手術)しかありません。