高リン血症とは
一般的な血液検査の項目に無機リンがあります。
①無機リンとは
リンは、骨、歯、細胞の核酸などの構成分です。
リンの80-90%は骨や歯に、15%が筋肉にあります。
尿中にリンが排泄され、尿細管で再吸収されます。
尿細管からのリンの再吸収は、PTH,カルシトニン(カルシウム濃度を調節するホルモン)、そしてグルココルチコイドで抑制されます。
腸からのリンの吸収は、PHTとビタミンDで促進され、グルココルチコイドで抑制されます。
(だから、ステロイドを長期間大量に飲みすぎますと、体のリンが減ってしまいますね)
②腎不全になると、高リン血症になります。
さて、腎臓が悪くなりますと、リンは小腸から吸収され、腎臓で排泄されるので、血液中のリンが高くなります。血液中に過剰にリンがありますと、リンがカルシウムと結合して、腎臓や骨などの石灰化をおこし、さらに腎臓をこわしていきます。そして、リンがカルシウムと結合するので、血液中のカルシウムが減ってしまいます。
③高リン血症になると、低カルシウムになります。そして、低カルシウムになりますと、カルシウム濃度を調節するホルモン(PTH)を刺激してしまいます。
④高PTH血症になると、骨がもろくなります。
PHTが刺激されますと、二次性上皮小体機能亢進症になり、腎臓や胃の石灰化、骨の脱灰化をおこします、
また、高PTH血症が、尿毒症症状の一部(神経障害、白血球機能障害、貧血、食欲不振、心筋、骨格筋の機能傷害など)の原因になるといわれています。
⑤つまり、高リン血症になると、、
・骨がもろくなる、
腎臓が石灰化して、さらに腎臓が悪くなる
・貧血がすすむ
・胃の石灰化により、胃腸炎がすすみ、食欲不振になる
⑥では、腎臓が悪くなったら、リンを制限した食事を与えないといけませんが、制限しすぎる食事を与えますと(過ぎたるはおよばざるがごとし)、筋力低下、溶血性貧血、食欲不振、骨軟化症の悪化をおこします。ネコちゃんでは、リンを制限しすぎますと、高カルシウム血症をおこすことがあります。
⑦高リン血症の原因
慢性、急性腎不全
腫瘍
ビタミンD中毒
上皮小体機能低下症、
甲状腺機能亢進症(シニア猫さん注意!)
⑧低リン血症の原因
原発性上皮小体機能亢進症
くる病
骨軟化症
高カルシウム血症
糖尿病性ケトアシドーシスのインスリン投与
ファンコーニ症候群(腎臓の尿細管での再吸収の異常、バセンジーに遺伝的に多い)
結論
腎臓が悪くなると、体の様々なところに悪影響、悪循環がおきます。食事で改善できるところもありますので、病気になったら食事も見直してあげましょう。