ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

コクシジウム症

下痢している子犬のよくみられるのが、寄生虫(特に多いのは、回虫)、原虫のコクシジウム、ジアルジアです。
検便で発見できます。
コクシジウムは、犬の小腸、盲腸に寄生する原虫です。感染しますと、カタール性・出血性腸炎がみられ、特に回腸の病変が著しく、粘膜が腫れたり、潰瘍などの炎症がおこります。潜伏期間は一般に5-6日です。子犬が感染しますと、血液、粘液、腸の粘膜上皮を含む血液・粘液性下痢をして、進行しますと。食欲不振、やせてくる、貧血、脱水症状がみられます。免疫力がついて下痢が落ち着いても、長期間にわたり、便に感染源のオーシストが排泄されます。

感染経路
 オーシストを含む便の経口感染です

治療
抗原虫薬の内服(コクシジウム駆虫薬として開発されたものではありません)をします。コクシジウムが、なかなか完全に駆虫しにくい理由は、

① コクシジムの卵(オーシスト)は環境諸条件や薬剤に非常に抵抗性が強いので、コクシジウムに汚染された環境からの除去が難しいこと。

②汚染された環境の中にいますと、感染犬が自分がした便、あるいは、仲間の便の中のオーシストを摂取して、再び感染するので、駆虫薬をしてもいたちごっこになります。


③感染能力のあるオーシスト(胞子形成オーシスト)が犬以外のネズミなどの本来の宿主でない動物に摂取されますと、そのリンパ節や他の細胞に侵入して、成長して大型のスポロゾイトになって、薄い膜に覆われる被鞘原虫になります。この動物を犬が捕食しますと、コクシジウムはその犬に感染しますが、この被鞘原虫の場合、駆虫薬が効きにくいのです。

オーシストは、酸素のないところでは、胞子が形成されないので、紫外線、熱、乾燥、無酸素状態での細菌の作用によって死滅することがあります。ホルマリン、消毒剤、防腐剤はオーシストの殺滅効果はありません。
汚染されるとなかなか、やっかいです。