ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

トキソプラズマ症

ナマの豚肉や鶏肉を食べるとうつるかもしれない、トキソプラズマという原虫があります。

人では、加齢とともに感染率が上昇し、日本で30歳以上の人の感染率20%以上だそうです。生肉や十分加熱しない肉を好んで食べるフランス人は80%以上の感染率だそうです、、
この病気は家畜伝染病予防法の監視伝染病のため、届出が義務付けられています。
人の妊娠2-6か月のトキソプラズマ初感染の妊婦は、
50%以下の割合で胎児に感染がおき、先天性トキソプラズマ症になるといわれています。


感染経路

トキソプラズマは、脊椎動物に寄生します(中間宿主)が、猫が終宿主となります。

トキソプラズマに感染した猫ちゃんの便に、トキソプラズマのオーシストという卵が含まれています。これを猫ちゃん以外の脊椎動物(中間宿主)が口にしますと、これが、体内で増殖して栄養型虫体やシストになります。これに感染した動物を食べたり、親から子への胎盤感染によって、感染します。
人間は、豚、羊、ヤギの生肉を食べて感染します。

つまり、
猫ちゃん糞中に感染源オーシスト(短期間のみ)^^^^それを、豚や羊が食べる^^^^ナマ肉やシストで汚染された土壌から猫ちゃんにうつる、、、で、、また、豚や羊に感染がおきる、、といったサイクルです。



症状
感染しても元気な動物(犬も猫も)は症状を示さないことが多いです。初感染時に白血病やウイルス感染があり、免疫が抑制されていると、発熱、肺炎、咳、リンパ節が腫れる、嘔吐、下痢、黄疸、神経症状などの臨床症状がみられます。

3か月齢未満の子犬では神経根炎型の症状がみられ、運動失調や不全麻痺になります。
トキソプラズマぶどう膜炎というのもあります。

診断
顕微鏡では糞便検査で通常のコクシジウムかトキソプラズマかのオーシストの鑑別ができません。
血液中の抗体を調べます。

潜伏期間は3週間

治療はサルファ剤やクリンダマイシンの投与

予防
・ 生肉を食べない。
 2006-2010年の大阪府の調査では、正常出荷豚の平均3.9%が抗体陽性とされています。

・糞便はすみやかに処理する

 感染源となる、オーシストを猫ちゃんが排泄する期間は短い(初感染して抗体産生までの1−3週間)ので、糞便検査で発見されにくいです。
 感染源となるオーシストは、土中で18か月間感染性が維持されるといわれています。
4年前のデータでは、東京の地域猫の10%が抗体陽性ということです。


猫ちゃんだけがトキソプラズマの感染源となるワルモノというわけではないのです。
妊婦になったから、猫ちゃんを捨てるなんて
いう人がいるらしいですが、言語道断です、