ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

前立腺の病気

男の仔のわんちゃんにだけおきる病気
前立腺トラブル

1)前立腺肥大
 ホルモンが関係するので、去勢していれば、この病気にはかかりません。
7.8歳以降の去勢していないオスに発生しやすいです。

症状は、前立腺全体が外側にむかって腫大するので、直腸を圧迫して、排便障害がでます。細―いい便をしたり、なかなか、便がでにくいときは、この病気の可能性があります。
また、進行すると、前立腺の中を走る尿道を圧迫して尿道が狭くなるので、オシコがでにくくなりますが、痛みはないといわれています。

治療は 去勢手術ですが、高齢のため、麻酔リスクがある場合は、抗男性ホルモンの薬を飲んでもらいます。
ウロエースという薬で、1日1回7日間投与するだけで、投与前の前立腺容積の70%、投与開始後2週間御には60%まで、前立腺容積を減少させることができるといわれています。
でも、この薬は、細菌感染があって、膿のようなものがでてくるときは、使えません。合成の黄体ホルモンなので、白血球の抗細菌作用を阻害し、感染性の炎症を悪化するおそれがあるからです。

2)前立腺炎前立腺の膿瘍
 おしっこするところをペロペロなめたり、
などなどで
大腸菌尿道にはいって、そこから
前立腺大腸菌がはいり、細菌感染を起こすことがあります。
で、細菌感染がすすむと、膿がかたまりになって、たまってしまう膿瘍をつくります。

こうなると、
痛いので

症状は
  元気食欲が落ちます
  発熱
  背中をまるめる
  歩行しにくくなったり、
  おしっこしにくくなったり
 
治療は
 3-4週間の抗菌剤の投与(でも、前立腺上皮には、血液―前立腺関門というのがあって、抗生剤をブロックしてしまうので、
実はききにくいのです)

 去勢手術(前立腺実質が退縮すると、膿瘍も小さくなるから)
  それでも、
だめなら、
  もう、前立腺摘出手術(なかなか、やっかいな手術なのです)

3)前立腺の癌
  犬の前立腺の腫瘍はまれで、有病率は0.6%以下といわれていますが、この大半は悪性です。
  前立腺がんは、去勢していても、ホルモンと関係ないので、癌になることはあります。
ですので、去勢しているのに、前立腺が大きいとなると、腫瘍を疑うことになります。

  症状は
 排尿困難
 尿失禁、頻尿、
 排便困難 しぶり、血便
 骨に転移すると歩行困難
 肺に転移すると、咳などの呼吸器症状
 
   

   尿道や膀胱、直腸などにもひろがって、早期に肺やリンパ節、骨に転移していることが多いので、治療は難しいです。(転移していたら、前立腺の腫瘍だけ、摘出しても、手遅れなのです)

暖房すると、犬も猫も渇きます。
エコ加湿をそっと、お部屋においてあげましょう。
乾燥すると皮膚が痒くなったり、フケがでたりします。