ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

免疫抑制剤のつつき

一番ローコスな免疫抑制剤はステロイドを多めにあげることです(ステロイドそのものが、免疫抑制というわけではなく、多めにあげると、免疫抑制の量になるということです。少ない用量なら、免疫を抑制しませんので、それほど、危険な薬というわけではありません。)

猫は犬よりもステロイドの受容体が少ないので、犬よりも用量が多くなります。ということは、少量なら、かなり安全な薬ってことになりますね。

では、ステロイド以外の免疫抑制剤には

今まで一番よくつかわれていた薬にシクロスポリンという薬があります。
でも、アトピー性皮膚炎に使われる薬ですが、
アトピー用の量でしたら、免疫は抑制しないので、大きな副作用がないといわれています。でも、飲み始めは、吐いたり下痢したりする可能性が高いです。
ただ、めっちゃ、高いというのが難点です。免疫抑制剤として飲むと、小型犬でも、1日1000円近くしてしまいます。大型犬だと、月に5万円以上になるので、なかなか、難しいですよね。

ま、免疫抑制剤をつくるのって、
製造過程で、製造者の健康被害に気を付けないといけないので、なかなか、コストがかかるんじゃあないのかなーって思います。すべて、機械化しないと、作業者が免疫抑制になったり、催腫瘍の可能性に暴露されるかもしれないし、、(原発と同じで作業者がキケン、、)

人間用の薬を使う場合、量が多いから分割しないといけない、それも、扱う人にリスクが高くなる、、、

先日、わたしがいった、麻布大学の血液内科のセミナーでの話ですが、

免疫介在性血小板減少症、免疫介在性溶血性貧血という病気の治療ですが、
まずは、
ステロイド治療

でも、それが間に合わないくらい、どんどん血小板が減ってしまった場合は、命にかかわるので、

人免疫グロブリン(ガンマガード)というめっちゃめっちゃ高い薬(1本6万円以上します)を投与します。
これは、一生に一回しかできない治療です(2回目はアレルギーがでて危険)
この薬の効果は60日くらいもつそうです
この薬をつかったときは、輸血はしてはいけないのです。理由は、この薬は血液の粘調度と炎症反応をあげるので、血栓ができやすいからです。

そして、その薬がきいている間に
脾臓を摘出!!
脾臓は免疫にかかわる臓器なので、
摘出しても、生きていけるのです。(いらない血液をこわしていく臓器だから)

でも、貧血や血小板が減っていく病気にワンに全身麻酔で、おなかあけて、脾臓をとる、
ちょっと、ドキドキ、こわいですよねえ、、