ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

手術をする前に血液検査をする理由

術前検査、
まあ、人間で、
手術をする前に血液検査をしない病院はたぶん、
日本中調べてもゼロ皆無だと思います。

もちろん、どうぶつも
血液検査をしてから手術をするのが
ベストです

理由は

1)もしも、肝臓が悪かったら

肝臓がすごく悪いのに、知らないで手術しちゃったら、
オー・マイ・ゴッドのエマージェンシーになりますよね。

 
①肝臓は、解毒作用するところ
 タンパク質を代謝してエネルギー源にするときにでる副産物のアンモニアを解毒してくれる臓器です
だから、知らないで麻酔かけちゃったら、高アンモニア血症でそのまま、肝性脳症になって、昏睡になって麻酔からさめないってことが考えられます

②肝臓は、凝固因子をつくるところ
 手術は、基本、きったりはったりするものです
出血をとめる凝固因子がなかったら、
  血がとまらない!!!
 出血死しちゃいます、、、

③肝臓はアルブミンをつくるところ
  アルブミンというのは体の血液浸透圧を維持してくれる大事なたんぱくです
アルブミンだと薬の濃度がこくなったり、あるいは、きかなかったり、薬物動態に影響を与えます
そして、
低タンパクだと
キズがつかないんです!!
腸を切開して、縫合しても、
その後傷がつかなかったら、
腸からじわじわ内容物がおなかのなかにもれて
腹膜炎になりますよね、、
そう、低タンパクを補正しないで、手術にのぞむと、とんでもないことになるからです。

④肝臓機能が低下していると
麻酔が深くかかりすぎるのです、
つまり、
手術は成功したけれど、
あれ、
眼がさめない、、
なんてことになる可能性があります。

2)もしも、腎臓が悪かったら

薬は、体から代謝されて体外に排泄されます。
それは、肝臓(胆管をとおって、腸に排泄、つまり、糞)、。
腎臓から、オシッコで排泄されます。

腎臓が悪いと薬物の排泄がうまくできないので、
麻酔が深くかかりすぎます。
もちろん、
キズの治りも悪いですし、
腎臓がすごく悪い状態で、手術すると、腎臓がさらに悪化します。

3)もしも貧血だったら、血小板が足りなかったら、

手術をすると、出血するのはしかたがないことです。
健康体ならいいのですが、
貧血だったら、1滴でも大事なものなのに
それが、失われてしまうのです。
人間と違って、どうぶつは、輸血用の血液は買えないのです。非売品です。どこからか、もってこないといけないのです。
血小板が足りなかったら、出血が止まりにくいです
ということで、
貧血で出血がとまりにくかったら、
もう、たいへんなことになりますよね


ということで、
手術の前に血液検査をするのは、
手術のリスクをさげるために、たいへん大事なことなのです。
肝臓や腎臓が悪いのに、麻酔かけちゃった、
あら
手術成功したけれど
麻酔からさめないわ
キズがつかないわ
出血がとまらない大惨事に
なる可能性があるからです。

お電話で手術の費用のお問い合わせをうけます。
血液検査なしで、安くしてくれ
っておっしゃる方がいますが、
それは、わたしのポリシーに反します、ので、お断りしております。