椎間板ヘルニアの治療
ダックスやビーグル、シーズに多い椎間板ヘルニアという病気があります。
首の頸椎が7個、胸の脊椎(胸椎)13個、腰の脊椎(腰椎)7個とおしりの仙骨があります
胸と腰の間の胸腰椎移行部(T11-L3)が最も、椎間板ヘルニアが多く、次に首の頚部領域が多いといわれています。
理由は、腰と胸の間のところは、可動性が非常に高い部位で、繰り返しの運動負荷がこの部分に集中することで、椎間板の変性や劣化が進行するからです。
特に、ダックスのような、軟骨異栄養性犬種では、椎間板の真ん中にある髄核が年齢とともに変性していく傾向があり、2歳齢までに髄核の脱水や硝子軟骨用変化が始まるといわれています。髄核の変性がさらに進行すると、本来のゼリー状の形から硬い軟骨状もしくは砂粒状に変化し、ショックを吸収できなくなるので、こうして、石灰化変性した髄核が椎間板から上に、でてしまって(逸脱)、椎間板ヘルニアが発生するのです。
ダックスは、2歳から、椎間板が変性していくということです!!
椎間板ヘルニアがおきると、脊柱管の中を走っている脊髄が損傷したり、浮腫がおきて、脊髄神経がおかしくなってしまうのです。
では、なりやすい犬種は
1991-2004年の大学病院(日獣)での手術データをみると、
301の犬のうち、ダックスが33.6%、ビーグル21.6%、シーズー8%という結果だそうです。
ダックスフンドは、3-7歳で胸腰椎部
ビーグルは若いときから、頸椎領域に
シーズは、高齢時に、頸椎、胸腰椎部に
おこりやすいということです。
では、椎間板ヘルニアになったら、どうするのか、
グレードによって、薬だけか、手術をうけるかが異なります。
1)頸椎の椎間板ヘルニアの場合
ビーグルに多い
① 初めておきて、首に痛みがあるだけで、歩くのは大丈夫
安静と投薬
② 痛みの再発
外科的手術の推奨
③ 首の痛みと神経学的異常
放置すると歩けなくなるおそれがあります。
緊急手術が必要です
深部痛覚が消えるくらい重度になりますと、首の脊髄損傷が、呼吸筋への出力を担っている脊髄も障害されてしまうので、呼吸不全によって死亡します。(まれなケースですし、この場合の治療は間に合わない)
2)胸腰椎椎間板ヘルニア
ダックスフンドに多い
グレード1 初めての背中の痛み、神経学的異常なし
安静と投薬
グレード2 背中の痛みの再発 歩くのは可能だけれど、 不全麻痺
外科手術の推奨
グレード3 歩行ができない不全麻痺
外科手術
グレード4 対麻痺 深部痛覚あり
早期の外科手術
グレード5 対麻痺、深部痛覚なし
深部痛覚がなくなって48時間以内での手術が望ま しい
手術しか治療方法はないが、完全に治るかどうかは、時 間との勝負
でも、48時間経過したからあきらめることはありません、
深部痛覚が消えてしまうくらい重度でも、 片側椎弓切除術を行って58%が改善がみられたという報告(アメリカ)があります。