ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

Mシュナさんの膀胱結石にご注意

犬の尿石症の44.7%がストラバイト、シュ酸カルシウム結石が43.7%をしめています(2000例中 2008-2011)

犬では、膀胱に石ができてしまう病気は、

 メスよりもオスに多い
 Mシュナウザーシーズー、ヨーキーに多い
 Mシュナウザーは、尿へのカルシウム排泄量が多いので、シュウ酸カルシウム結石のリスクが高いといわれています。
ストラバイトは、食事や尿を酸性化することによって溶けるかもしれないのですが、
このシュ酸カルシウム結石は、とけない石なんです。
つまり、
膀胱結石になったら、外科手術でとりださないといけないということで、やっかいなんですね。

で、外科手術で膀胱結石をとりだしても、
1年以内で再発が36%以上、3年以内に60%再発といわれています。とにかく、厄介ですね。

そのために、どうするのか、
やはり、予防フードと水をのんでもらって、あとは、早期発見でしょうか、


予防は、
 カルシウムを食べるのを減らすという単純なものではありません。体がカルシウムが不足していると感じると、骨からカルシウムを動員してしまうので、
 カルシウムをとらないようにしようーというのは、間違いです。

カルシウムやリンはホルモンで調整され、複雑な機序なのです。
カルシウムを減らしすぎると、本来であれば、腸管内のカルシウムの一部はシュウ酸と結合して不溶性化合物(シュ酸カルシウム)として、糞と一緒に排泄されるのが、カルシウムが少ない食事を続けると、カルシウムと結合できないたため、シュウ酸が増えてしまって、結果として、尿へのシュ酸の排泄量が増えてしまうのです。

つまり、
カルシウムの少なすぎる食事をすることで、逆に、尿へのシュウ酸の排泄量が増えてしまって、シュウ酸カルシウム結石の形成リスクが高まってしまうのです


  

シュウ酸って何かといいますと、
食事中に含まれるアスコルビン酸(ビタミンC)や種々のアミノ酸グリシンやセリンなど)の最終代謝産物です。
ですので、これらのシュウ酸の前駆物質を大量に食べすぎると、尿へのシュウ酸排泄量が増加します。


予防のフードってどういうものかといいますと、

1)まず、
ストラバイトは、ウレアーゼ産生菌の感染などによって、尿がアルカリになるために結石の形成リスクがあがります。そのために食事には、尿を弱酸性化に維持し、結石を溶解するように配慮されています。

一方、シュウ酸カルシウムは、尿PHはさほど、重要でないといわれていますので、
どっちにもきくという、処方食があるわけですね。


2)結晶化阻害物質
 シュウ酸カルシウムの形成には、クエン酸マグネシウムが結晶化阻害の役割があるといわれています。
 クエン酸は、カルシウムと結合して可溶性の化合物を形成し、間接的にカルシウムとシュウ酸が結合するのを抑制する働きがあります。
 マグネシウムも、シュウ酸と結合してくれます。

 ということで、ストラバイト予防のためにマグネシウムを減らしすぎても、逆効果なので、
マグネシウムも適度に必要な要素ということです。

3)予防フードのあげかた
予防フードを与えているからといって、
100%、ゼッタイにシュウ酸カルシウム結石ができないというわけではないのですが、
他の食事やおやつをあげることによって、ミネラル配合がかわってしまうので、
食事療法というのは、なかなか、たいへんですねー


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 Mシュナウザーさんです。穏やかなワンコですね。