ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

尿の成分は食事でかわる。療法食もいろいろあります。

尿石症療法食を食べていると
 水をよく飲む
   ↓
 尿の量が多くなる
   ↓
 尿の比重が低くなる

尿の比重が低いと、あ、腎臓悪いのかしらと疑いますが、療法食を食べていると、尿比重が低くなるので
必ずしもそうはなりません。

もしかしたら、尿比重が低いと、結石の原因となる成分などが薄まっていて、結晶や結石ができにくい環境が膀胱内につくることができていると期待できます。


でも、食事でいろんなことが尿に影響を与えます

1)尿の酸性化剤
 尿がアルカリ性になると、ストラバイト結石ができやすいので、尿の酸性化剤を含んだ食事を長期間与えていると
血液が酸性に傾き血液中に余分なカルシウムが増えてしまいます。余分なカルシウムが尿に増えると、逆に、シュウ酸カルシウム結晶ができる可能性があります


2)カルシウム
 シュウ酸カルシウムを減らすために、カルシウムを少なくした食事を続けると、カルシウムとともに骨を形成するマグネシウムが、体の中で余ってしまって(骨をつくる量がへるから)、マグネシウムが尿に排泄されて、ストラバイト結石(リン酸アンモニウムマグネシウム結石)が膀胱内にできやすくなります

犬3頭に、一般食と療法食3種類を1週間ずつ順に食べさせて尿を検査した実験報告をご紹介します。
尿中のカルシウムとマグネシウム濃度を比較すると
食事によって、みんな検査結果が違うことが判明しました。
ある療法食を食べると、ほかの3つの食事と比べて尿中のカルシウム濃度が低かったり、マグネシウム濃度が低くなったりしたそうです。
もちろん、一般食がいずれも、尿中カルシウム濃度が高かったという結果です。

つまり、
尿石症療法食といっても、様々なフードがでていますので、みな一律の結果がでるわけではないということです。
とくに、溶けないといわれている、予防や管理が難しいシュウ酸カルシウム結石は、カルシウム濃度が低いほうがいいのですが、だからといって、低すぎてもいけないのです。シュウ酸カルシウム結晶の予防には、尿のPHは関係ありません。
尿が酸性だろうが、アルカリだろうが関係なく、尿の中のカルシウムとシュウ酸の共有結合によって形成されているからです。


ということで、カルシウムやシュウ酸の濃度が高いほど、シュウ酸カルシウム結石形成のリスクが高くなり、クエン酸やマグネシウムの尿中濃度が高いほど、シュウ酸カルシウムのリスクは低くなるといわれています。

シュウ酸カルシウムを予防したいのなら、それに焦点をあてた療法食が一番、おすすめかもしれませんね。
ただ、同じフードを食べていても、個体差、代謝の差、腎臓の機能の影響もありますので、一概にはいえません