心臓病になりやすい犬種と予後
犬は、シニアになると、たいてい、心臓が悪くなります。
そのデータをご紹介しますと、
すべての犬のうち(子犬からシニアまで)約10%が心臓の病気をもっている。つまり、10頭に1頭の割合で、心臓が悪いということです。
5-8歳の小型犬の10%以上
16歳以上の小型犬の約75%
オスのほうがメスの1.5倍多い
後天的に心臓が悪くなるものの75-80%が
左の心臓の弁がきちんと閉まらなくなる
僧房弁閉鎖不全症といわれています。
15-20%が心筋症(大型犬の拡張型心筋症)
僧房弁閉鎖不全症のリスクが高い犬種は
アメリカのデータ
ポメラニアン、チワワ、ペキニーズ、トイ・プードル、
ボストンテリア、ミニピン、キャバリア
(飼っている犬の人気の種類が日本と異なるから)
日本では
マルチーズ、ヨーキー、パピヨン、シーズ、ミニチュアダックス
心不全は、進行していきますので、
スコア分類というのがあります。
ステージA まだ病気になっていないけれど、心臓疾患の進行に関して高い危険性がある(キャバリア)
ステージB
−1心臓に雑音はあるけれど、心臓が大きくなるほど悪くなっていない
−2心臓に雑音があって、レントゲンで心臓の左の心房が大きくなってきている
この時点で、心臓の薬をのみはじめたほうが、予後が違うといわれています。
ステージC
心臓に雑音があって、心不全徴候がでている。
入院治療を必要とする急性心不全
在宅治療が可能な慢性心不全
この段階になると、心臓が大きくなって、気管支を圧迫するので咳をします。
もちろん、投薬が必要となります。(最低、2種類)
ステージD
標準的な治療に対して難治性を示す。
末期の心不全の徴候を示す
ピモベンダンという、強心作用と血管拡張作用のある薬を用いた場合と、それを飲まなくて、ACI阻害薬のみを飲んだ場合で、心臓の病気があって、咳などの症状がでていた犬76頭(ISACHC クラスⅡ、Ⅲ)で試験をした結果、ピモペンダンを飲んだワンコは415日、ACI阻害薬のみのワンコは128日と生存期間に有意な差がでたそうです(ピモペンダンのメーカーによると)
で、ISACHC クラスⅢという、進行した心不全の犬260頭(11か国、28施設)で、
ピモペンダンを飲んだ犬124頭と、ACE阻害薬だけを飲んだ犬128頭で、ピモペンダンを飲んだ犬は、生存期間267日、ACI阻害薬だけの犬は140日という結果だそうです。
つまり、薬を飲むかどうかで、生存期間が2倍以上違ってしまうということです。
さらに、肺水腫までおこすくらい悪くなった犬の場合、
ピモベンダンを飲まないと、1年生存率は23%、だいたい、136日くらいで亡くなってしまうというデータもあります。
おうちのワンコさんが心臓が悪くなるのは、どうしようもないことですが、
心臓が悪くなったら、
早期発見して
早めに適切なお薬を飲んだほうが生存期間が延びるということですね。