ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

トリグリセライド(TG)ーー過激なダイエットにご注意

血液検査で測定する項目のうち、

トリグリセライド(TG)
 つまり、中性脂肪です。

食後には一過性にあがるので、正確に測るためには
一晩あるいは12時間の絶食を行う必要があります。
コレステロールは、食後は軽度に上昇しますが、臨床上の異常値がでるほどではないので、食後でも測定ができます。

TGが多く、乳白色の血漿なりますと、他の測定項目の数値にも影響をあたえますので、血液検査は、基本的には絶食して測ったほうがいいですね。


食事に含まれる脂質の多くはトリグリセライド(TG)です。そして、このTGは、体内では主に肝臓と小腸で合成され、エネルギー源として利用されます。

犬は心筋梗塞はならないといわれており(心臓の冠動脈がたくさんあるから)ますので、高脂血症になっても、人間と違って、心筋梗塞を引きおこすわけではありません。

TGが上昇する原因は

  食後
  急性膵炎(特に猫さん、注意!)
  家族性の高脂血症(シュルテイーさん、多いです)
  糖尿病
  ネフローゼ症候群(腎臓)(コレステロールも上昇)
  蛋白喪失性腎症(コレステロールも上昇)
  甲状腺機能低下症(コレステロールも上昇)
  

高いTGは膵炎の引き金になるといわれていますので、
侮れません。
ミニチュアシュナウザーさんは、高TG血症で、膵炎のような症状はない(吐いたり下痢する)のですが、膵臓特異性リパーゼが上昇していることが多いといわれています。
そして、高脂血症の好発犬種が膵炎の好発犬種といわれていますので、
TGが高いワンコは、膵炎に注意したほうがいいですね。


特に、シニアになると、甲状腺機能低下症になるワンコが多くなってきます。最近動かない、太ってきた、、ということで過酷なダイエットをしますと、
それも、膵炎を誘発します。
甲状腺機能低下症による肥満の場合、食事制限のみではほとんど効果がないため、さらに過酷なダイエットをしてしまいますと、
膵炎になったり、腎臓が悪くなったり、
命を縮める可能性もあります。
過酷なダイエットをしますと、体が節約モードになって、ますます代謝が落ちます。体に蓄積された脂肪がエネルギー源として急激に利用されますと、肝臓に負担をかけます。
まさに、死のダイエットになってしまいます。

中性脂肪が高いからといって、
すぐに過酷なダイエットをするのではなくて、

ほかに原因がないかを調べて、

そのうえで脂質を控えた、適切なフードをあたえて
健康な食生活で病気を予防してあげましょう、、


アンデイくんは、甲状腺機能低下症で、TGが高いです。
食事には気を付けていますが、あちこち、脂肪腫があります。これは、もう仕方がないです。
薬を飲んで、脂質の少ない食事にして体重が増えないようにしていますが、おなかがすくと、猫のフードを盗み食いしていています。
ダイエットは本人のやる気をひきださないと、たいへん(無理でっす)、