犬CRPとは
先日、東京大学準教授の大野先生のセミナーにいってまいました。そこで、
犬CRPの有用性についてお話がありました。
まず、CRPとは、
C反応性蛋白(CRP)は、感染や組織傷害などに反応して、短時間の間に血中濃度が変動するタンパクを測定したものです。
もともと、人の肺炎患者の血清中に肺炎球菌のC多糖体と沈降反応を示すたんぱく質として見出されたそうです。
人には人のCRPがあって、犬には犬のCRPがあります。ですので、人間の検査センターで測定してもだめだということです。
CRPは主に肝臓でつくられ、一部は膵臓や局所のリンパ球から産生されます。
CRPは、急性炎症性刺激がおこって、6時間ごろから急激に上昇し、24-48時間で最高値を示し、炎症性刺激が消失した場合はすみやかに減少します。
半減期は6-8時間です。
ネコちゃんは、このタンパクにあまり反応しないので、測定は無意味だということです。(SAAやα1酸性糖タンパクとか、ほかの炎症タンパクをみます)
欧米よりも、日本のほうが、獣医学で(ヒトでも)、CRPの研究が進んでいるそうです。
では、どういうときにCRPを測るのか
①半減期が短いので(6-8時間)、治療効果をみるため継時的に測定する。
入院中ですと、1日2回、1日1回など、
②診断の補助として、ルーテインに測定するとよい。日々変化する炎症マーカーなので、いまそのときの数値をみるためですから、外注検査では時間がかかるので、院内ですぐに測定して、結果をみることが大事である。
とくに、炎症をみるために、アルブミン(負の炎症マーカー。下がる)と組み合わせて 測定するのが有効だろう。
つまり、ある病気を探るとき、血液検査の結果を、いろいろ探って、病気を考えるときの一助になるということです。
検査結果がいろいろそろっているほうが、より正確な病気の診断に結びつくということですね。
とくに、動物は、自分で症状をいってくれないので、検査データをもとに病気を考えないといけないのです。
外見だけで、動物の様子だけで内臓の病気がわかるというのは無理があって、今は中世の時代ではありませんので、獣医療界でもそういう話にはなりませんよね。
CRPの数値
当院ではフジドライケムを用いておりますので、
その数値をご紹介します。
正常値0.7㎎/dl以下
軽度の上昇0.7-3
中程度 3-7
重度 7以上
CRPが高くなる原因は
全身の炎症によって上昇しますが、
とくに、感染性、免疫介在性、腫瘍性(腫瘍がまわりの組織に浸潤して炎症をおこすため)の病気で上昇します。
細菌感染症
子宮蓄膿症、
脊髄炎
腎盂腎炎
膿瘍
腹膜炎
免疫介在性関節炎(発熱します)
皮膚の重度の感染症
重度の膵炎
重度の出血性胃腸炎
急性腹症(異物を食べて、腸に穴があいた、とか)
胆嚢破裂(かなりのエマージェンシーです)
パルボ、ジステンパーウイルス
ステロイド反応性髄膜炎(首の痛いビーグルに多い)
CRPがあまり上昇しない病気は
心臓の循環器、神経、内分泌疾患
病気であっても、CRPが高くならない原因は
低栄養状態
ステロイドや免疫抑制剤の使用
クッシング症候群
CRPは、原因、部位を特定する検査ではなく、あくまで炎症や組織障害の程度を示す指標であるので、CRPだけで重症度や予後判定を行うのは困難といわれています。
たとえば、腰が痛いような、歩き方がへんといった症状の時
椎間板ヘルニアでは、CRPは上昇しませんが、免疫介在性関節炎ですと、CRPが上昇するので、鑑別補助になります。
(伊豆の万華鏡博物館
同じ絵柄がでるのは、40億に1回だそうです。つまり、これは世界にひとつしかない、映像です、、、)
これは、血液検査にもいえますよね。血液はそのときの状態の数値を測っているのですから、日々変化します。血圧もそうですが、、、