ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

ワンコのアトピー性皮膚炎のための薬アトピカ

犬全体の10%に発生するといわれているアトピー性皮膚炎のための薬があります(アトピカ)。
この薬は、高価(動物専用となると、マーケットが狭いので、どうしても人薬よりも割高になります)で、3週間くらい飲まないと効果がでてこないのと、カプセルで飲みにくい(オイルベースで臭いがきついため、嗜好性が低いようです)、飲み始めに嘔吐したりといった副作用がでやすいなどの理由で、飲み続けることを躊躇するケースが多いです。
飲ませにくい、食事2時間以上前の空腹時での投薬が指示されているため、ややこしいのが難点です。
この場合は、冷凍して(きつい臭いがなくなる)、少量のフードにくるんで与えるとよいとのことです。カプセルが腸で溶けて吸収されるので、胃腸障害がでにくく、飲ませやすくなるとのことです。

・アトピカの効能
アトピーの原因となるリンパ球や、肥満細胞、好酸球などの活性化を阻害する。
遅延型アレルギー反応の阻害

・アトピカのメリット
ステロイド薬を長期服用するよりも、副作用が少ない
薬を中断したあとの再発率がステロイドよりも低い

・アトピカのデメリット
ステロイドよりも高価
カプセルでのませにくい(冷凍して、少量のフードにまぜてあたえましょう)
空腹時投与が指示されて、めんどう
消化管症状がでやすい
ステロイドほど、すぐに効果がでない。
2、3週間くらい続けないと効果がでない

・アトピカの副作用
消化管症状(下痢、嘔吐)
歯肉の肥厚(あつくなる)(投薬をやめれば、もとにもどるとのと)
イボがでやすくなる
多毛になる(投薬中断でもとにもどる)
血清ALTが上昇する(長期服用する場合は、血液検査でモニターしましょう)

アトピカをのめないケース
6カ月齢未満
猫ちゃんへの投薬(海外では認可されていますが、日本では認可されていません)
悪性腫瘍をもっている犬
妊娠中

生ワクチンを接種する場合は、前後2週間あけましょう

ニューキノロン系、クロマイなどの抗菌剤との併用ができない

1年中痒がってステロイドをきれないようなワンコさんには、アトピカは効果があるといわれています(食物アレルギーや、季節性のアトピーにはきかないそうです)。
アトピーは非常に治りにくい病気で、生涯の治療が必要な場合があります。うまく病気とつきあっていかないといけないといわれています。
ステロイドを使わないで、この薬の投与(落ち着いたら、1日おき、あるいは1週間に2,3回と減量)でアトピー性皮膚炎をコントロールできるといいですね。