薬用シャンプーの成分と効能
様々な成分のはいった薬用シャンプーがあります。その一部をご紹介します。
①過酸化ベンソイル(ビルバゾイルというシャンプーに含まれています)
抗菌作用があります。皮膚のPHを低下させ、活性酸素は細菌の細胞膜を破壊する抗菌作用があり、わんちゃんの膿皮症(細菌感染した皮膚炎)に効果があります。
また、脱脂作用があり、毛包洗浄をしてくれますので、皮膚がベタベタしている犬さんに効果があります。犬ニキビダニにも有効です。
ネコちゃんには、使わないでください。
② 乳酸エチル(エチダンというシャンプーに含まれています)
皮膚のPHを低下させることによって、静菌作用(抗菌作用と違って、細菌を死滅するのではなくて、細菌の増殖を抑える)があります。わんちゃんの膿皮症(細菌感染した皮膚炎)に効果があります。
③クロルヘキシジン(ノルバサンシャンプーに含まれています)
クロルヘキシジンは、陽イオン系界面活性作用をもつビスビグアニド系の消毒薬です。いろいろな細菌に対して、抗菌作用と軽度の抗真菌作用をもちます。
抗生剤がきかなくなったような膿皮症(細菌感染した皮膚炎)に効果があります。
④硫黄(昔は、これが含まれていたシャンプーありましたが、、薬局でムトウハップがあるかもしれません)
硫黄は、角質溶解作用、抗菌作用、抗寄生虫作用、抗止痒作用があります。刺激が強いので炎症をおこす可能性があります。サリチル酸と併用することにより、角質溶解作用が増強されます。
イヌニキビダニにも効果的です。
皮膚のPHを低下させ、角質溶解作用があります。
弱い抗止痒作用と抗炎症作用をもちます。
⑥二流化セレン(カニマールワンというシャンプーに含まれます)
表皮のターンオーバー(皮膚の再生のサイクル)を短縮し、角質溶解作用と角質形成作用をもち、脱脂作用をもちます。、油でベタベタした皮膚のワンコさんに効果があります。副作用としては、刺激があり、染色性がありますので、粘膜や、敏感な場所はさけたほうがよいでしょう。
皮膚の病気ごとにみると、、
膿皮症(皮膚の細菌感染)
過酸化ベンゾイル、乳酸エチル、クロルヘキシジン
ニキビダニ症
駆虫薬(イベルメクチン、ドラメクチン)
ニキビダニは毛包に寄生するので、毛包を洗浄する過酸化ベンゾイルと硫黄サリチル酸が効果があります。
脂漏性皮膚炎(皮膚がベタベタしているワンコさん)
マラセチアという酵母は、脂をこのむので、ベタベタ皮膚のワンコさんは、たいてい、マラセチアという酵母の感染をおこしています。
マラセチアに対する治療は、抗真菌薬(ケトコナゾールやイトラコナゾール)ですが、外用療法では、脂をとる脱脂作用の二流化セレンが効果的です。また、脂でベトベトして、かつ、細菌感染をおこしている皮膚には、過酸化ベンゾイルも効果があるようです。
このほか、クロルヘキシジンとミコナゾール硝酸塩のはいったシャンプー(マラセブシャンプー)もよいようです。
皮膚糸状菌症
カビに感染した皮膚の場合、クロルヘキシジングルコン酸塩とミコナゾール硝酸塩配合シャンプー(マラセブシャンプー)が効果的です。市販の人間用のコラージュフルフルも効果がある場合もあります。
シャンプー療法は、皮膚の状態によって様々です。皮膚炎の場合は、シャンプーも治療方法のひとつですので、ぜひ、病院にご相談されて、適切で効果的なシャンプーを選んでください。
薬用シャンプーの場合、10分間、シャンプーと皮膚を接触させる必要がありますので、10分のつけおきが大事です(長いので、たいへんですね)
角質溶解作用をもつシャンプーを使った場合、脂をとりすぎますので、必ずコンデイショナーをお使いください。また、刺激が強い成分が多いので、けして、眼にいれないようご注意ください。、