クッシング症候群の薬
クッシング症候群という副腎皮質機能亢進症があります。
犬の発症率は0.36-0.5%といわれ、
つまり、200-300頭に1頭の犬がなるということですね。
治療は
副腎皮質ホルモンをつくるのを阻害(邪魔する)する
トリロスタンという薬を飲んでもらうのです
このアドレスタンという薬はいろいろ副作用があります。
ネットで売られてるようですが、こういう副作用の強い薬で用量に幅がある薬をネットで自己判断で飲ませるのは、リスクが高いです。
なせなら、アドレスタンは割ってはいけない薬なのです。。。
並行輸入でちょっと安いからと言って、こういう管理が難しい薬をネットで自己判断で買うなんて、実のところわたしには理解できません。(化粧品やシャンプーくらいなら、いざしらず、医薬品ですからね、、)
・並行輸入による輸送時の品質の劣化のおそれがある
・薬の副作用が出たときにメーカー保証がない
・薬の副作用がでたときに、専門家に相談ができない(自分でネットで買っていたなんてことになると、大学病院の先生からあきれて、相手にされなくなるでしょう。これは、わたしたちが、人間のお医者さんにかかる場合でもあてはまると思いますよ)、、
アドレスタンの注意事項
1)カプセルを割ったり砕いたりしないこと。
飛散した微粉末を吸入すると、呼吸器からトリロスタンが吸収され、まわりの人間や動物も副腎不全をおこすリスクがあるから
2)妊娠中、妊娠予定の女性はさわっていはいけない
女性ホルモンの合成も低下させるので、最悪は流産の可能性あり
3)妊娠・授乳中、繁殖予定の犬には飲ませてはいけない
4)腎疾患がある犬には投与しないこと
この薬を投与中は定期的に腎機能の血液検査をしてモニタリングしないといけません。
自己判断で、だらだらとネットで薬を買って飲ませるリスクは高いです
5)肝臓の悪い犬には投与しないこと
肝炎、肝硬変、肝臓の腫瘍があると、トリロスタンの代謝と排泄が遅れるから(副作用が強くでる)
6)貧血の犬には投与しないこと
糖質コルチロイドが抑制され、骨髄の再生を抑制する可能性があるから
7)心臓の薬のACE阻害薬は併用できない
電解質異常と高窒素血症を悪化させるから
8)カリウム保持性利尿薬は併用しないこと
心臓が悪くなるとスピロラクトンなどのカリウム保持性利尿薬を飲むことがありますが、高カリウム血症や低ナトリウム血症を悪化させるリスクがあるから
9)一緒にミトタンをのまない
10)用量に注意
薬の取り扱い説明書に書いてある量よりも少ない量からはじめるべし
2㎎/㎏ SID あるいは1㎎/㎏ BID
11)アジソン病になることがある(副腎皮質機能低下症)
放置すると突然死もあり
これが、一番こわいですね
12)過敏症
どの薬でもおこりうりますが、下痢したり嘔吐、運動失調、発作、尿失禁(まれ)
トリロスタン投与中のモニタリング
この薬を飲んで、療法の成否、副作用のチェックをしないといけませんね。
モニタリングの頻度は
薬を飲み始めたら、10-14日後にACTH刺激試験
次にあった用量になったら30日ごとを目安にチェック
モニタリングの項目は
・ 下垂体腫大による痴呆症状がでていないか
・食欲はどうか
・飲水量
・皮膚の石灰化の改善
・筋肉
・心疾患
・貧血
・電解質
・BUN,CRE,ALP,ALT,コレステロール、
必要に応じてACTH刺激試験(アジソン病のチェック、トリロスタン感受性のチェック)
ということで、この薬を自己判断でネットで購入して漫然と続けて飲むような薬ではないのです。
この薬にかぎらず、緑内障や、抗真菌剤、アジソン病、免疫抑制剤など医薬品で副作用の強い薬は総じて、注意が必要です