ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

食べないというお悩みとガマンくらべ

ワンコさんが好き嫌いが多くて、
ドックフードを食べない、おやつしか食べない
人間の食べ物をほしがる

というご相談をよくうけます

食べないからといって、どんどん、美味しいものをトッピングしたり、フードをかえていくと、
しまいには松坂牛と大トロしか食べない、グルメ犬になってしまう懸念もあります。

ですが、
食べないからといって、そのままにしておくと、
健康状態の悪化が懸念されます。

では、どこまで、我慢比べをしたらよいのか、

1週間で10%以上の体重減少
48時間以上食物を摂取していない
3日以上、安静時に必要な最低限のエネルギー要求量にみなう食事を摂取していない

といったことになったら、
食べ物の好き嫌いだといって、放置するのは、おすすめしません。

好きなドックフードを探して変えてみる
粒の大きさの違うフードにかえてみる
食器を陶器にかえてみる
食器をたべやすい高さにおいてあげる
缶詰を、ドライフードにまぜてあげる
ササミフリカケなどのトッピングをしてあげる
ヨーグルトなどをかけて、フードをふやかしてあげる
たべなかったフードをそのままにしないで、15分たったら、しまう

でも、
吐いて下痢するようなら、体に異常がないか調べる

特に急激に体重が減少すると、水分喪失も大きいので、脱水と電解質(ナトリウム、カリウム、クロール)の補正が必要です。脱水していると、気持ち悪くて、さらに食べなくなりますので、補液をしたほうがよいでしょう。
長期間食べないと(飢餓)、動物の体内では、異化が亢進し、免疫力が弱り、衰弱していきます。
肝臓の貯蔵グリコゲンを分解してエネルギーに変えたり(1,5日で枯渇)、ケトン体をエネルギー源として利用するために、脂肪組織の分解を始めます。こうして、体のタンパクの異化は、免疫機能の低下、傷口の治りを遅くする、運動機能の低下、さらに体内のアシドーシス化を高め(体が酸性になります)、腸の粘膜細胞が萎縮し、消化吸収能力が低下します。こうして、どんどん体が弱っていきます。

で、体が弱っているところに、
無理無理、高栄養の食べ物を急激に与えますと、

再給与症候群というのが起こります。これは、体細胞組織が縮小して、細胞内の電解質の放出や利尿により、カリウム、リン、マグネシウムなどの全身的な枯渇状態のところに、エネルギー産生栄養素が再導入されると、グルコースとともに、これらのミネラルが細胞内へ急速に移動することで起こります。ということで、体のバランスが崩れてしまって、下痢したり消化吸収できず、嘔吐したりと、よくありません。カリウムが大量に細胞内にはいりますと、心臓が止まってしまうこともあり、最悪のケースは死亡することも考えられます。
ですので、
長期間の飢餓のあとに、急にガバガバ食べさせるのはよくないことなのです。


ふたりで一緒にたべたほうが、美味しい?