ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

DIC

DICとは、播種性血管内凝固といいます。
これは、腫瘍や炎症などの病気によって、血液凝固が異常になり、細い血管内に小さな血栓(血の塊)ができてしまう状態です。こうなると、血液を固めるのに必要な血小板やタンパク質が血栓をつくるのに多く使われてしまい、出血がなかなか止まらなくなります。

原因
 悪性腫瘍、炎症(膵炎など)、重度の感染症(子宮蓄膿症、猫伝染性腹膜炎など)、溶血(免疫介在性溶血性貧血、マダニからうつるバベシア症など)、熱中症、胃拡張胃捻転症候群(ポチタマのラブのマサオくん、、)など、様々な病気が原因となります。


症状
 重度の場合、結膜、歯肉、皮下など全身に出血や紫斑がみられます。
多くの小さな血栓がからだのなかの血管にできるため、腎臓などの臓器に血栓がつまって腎不全になるなど、多臓器不全になることがあります。

診断
血液検査
血小板数と止血凝固に関する検査

治療
原因の治療
 ・悪性腫瘍の摘出手術
手術中、血が止まらなくて死亡するリスク高い)

 ・炎症をおさせる

 ・感染症への治療
子宮蓄膿症の場合、手術しかないのですが、このDICになっていると、やはり、出血がとまらないリスク高いです)

・抗血栓療法
血液が固まることを抑えるヘパリン投与して、血栓をなるべくつくらないようにする(できてしまった、血栓にはききません)

・輸血
 消費されている血小板やタンパク質を補う

DICの徴候があるのは、たいへん生命が危険な状態です。

悪性腫瘍を予防することはできませんが、
DICの原因となる、子宮蓄膿症と熱中症とバベシアという病気の予防はできます。
これからの暑い季節になりますから、
熱中症とマダニの予防だけは、飼い主さんの責任ですね。