ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

気管虚脱とは

小型犬に多く発生する、気管が狭くなっている病気です。気管軟骨が筒状になって気管をつくるのですが、この気管軟骨が弱くなってしまったため、つぶれてしまう病気です。


1)原因はいまだ不明ですが、

遺伝的素因
高温多湿の環境因子
リードで強く引っ張りすぎていることで、外からの圧力
よくほえて、気道内圧の上昇
肥満

2)多い犬種
ヨーキー、ポメラニアン、チワワ、トイプードル、マルチーズなどの小型犬
好発年齢は、6-8歳の中高齢
猫は極めてまれ

3)症状
乾いた咳をします(空咳)
カッカ、ケッケというような咳です。
最初は、単発で咳をしますが、徐々に連続性になり、長い咳の後に、かーっという淡をはくようなしぐさをするようになります。
また、細菌感染すると、気道内に分泌液がたまることで、湿性(しめった)咳をします。
高温多湿、強い乾燥などの環境的因子の影響を受け、発作的な発咳を繰り返します。
ひどくなると、気管がつぶれてしまい、呼吸困難を引き起こすようになります。
とくに、興奮したときや、早い呼吸により、「ガーガー」などのガチョウが泣くような大音量の咳、呼吸音が聞こえるようになります。
呼吸困難がひどい場合には、「ヒイー、ヒイー」「ゼーゼー」といった喘鳴音が聞こえるようになり、舌が紫色のチアノーゼをおこしたりします。


痰がでる、水を飲んだ時にむせるようなしぐさをする、
ゼーゼーといった呼吸が苦しそう


4)診断
レントゲン検査
初期の段階では、気管軟骨の硬度が残っているため、単純X線撮影では、正常と区別が難しいです。
内視鏡検査がもっとも確定診断

5)治療
薬で気管を広げることはできません。
症状の緩和、感染の除去、酸素といった、対処療法のみです。
  ステロイド
  去痰剤 
  抗菌剤
  鎮咳薬

6)予後
進行性の病気です
気管を外科的に広げる(筒をいれたり、ステント)する手術
(専門病院のみ)

予防は、高温多湿を避け、夏場の温度管理
リードで首をひっぱらず、胴輪にかえる
体重管理