猫パンチをうけた子犬の悲劇
昨日は、
眼のセミナーにいってまいました。
そこでの症例紹介で、
とてもかわいそうな子犬のハナシです。
眼の表面を覆っているのが、角膜なのですが、
ここにキズをうけることがあります。
だいたい、3-7日くらいでキズが治っていきます。
角膜にキズをうけるとどうなるかといいますと、
①角膜の表面の浅いところ(角膜上皮)
角膜の一番上の表面は、
血管はないのですが、
神経が分布していて、
痛みと熱に敏感なところです。
だから、異物がはいったりすると、すごーっく目が痛かったり、ゴロゴロ違和感を感じますよね。
で、この角膜の一番の上(上皮)のキズは、キズをうけても、細胞が一生懸命、増殖して治してくれますので、小さなキズでしたら、数日でもとにもどります。(細胞は、キズをうけてから、1時間で再生します)
②角膜の中間のところ(角膜実質)
ですが、それよりも深い傷をうけますと、、
角膜の実質という部分ですが、
ここは、大半がコラーゲン繊維からなる部分で、コラーゲン繊維が層状に並ぶことによって、透明性を保ち、光を奥に通すようになっています。
そこで、角膜の一番上だけでなく、その奥の実質までキズをうけると(つまり、穴があくってことです)
透明性を保つ層状の配列が乱れてしまうので、なんとなく、目に白いような跡が残ってしまいます。(細胞はキズをうけてから、12時間後に修復されていきます)
③角膜の一番奥のところ(角膜内皮)
角膜の一番下には、角膜内皮といって、
うすい膜があります。
この内皮細胞は年齢とともに、減っていき、
再生しないのです。つまり、キズをうけたら、その傷跡が残ってしまって治らないのです。
キズをうけると、細胞は増えないので、その穴を埋めるために、まわりの細胞がふくらんで、穴を埋めます。細胞が膨らむということは、水分を含んで、浮腫になります。だから、角膜に深いキズをうけると、白い瘢痕収縮した、痛々しい傷跡が残ってしまうのです。
角膜が全部、穴が開いて、その奥までキズが到達することがあります。
全層角膜裂傷といいますが、
原因の大半は猫ちゃんにひっかかれたためといわれています。
猫ちゃんの爪が犬の目の中にガチってはいって、目に針がささったような状態になります。
目の表面の膜である角膜が破れて、後ろにある水晶体まで、穴があいてしまった状態をいいます。
後ろの水晶体が破裂して、、
水晶体から、炎症をおこす物質がでて、
重度の水晶体誘発性ぶどう膜炎という
眼の奥の炎症がおき、
本当にかわいそうな事故に発展してしまいます。
こうなったら、どういう治療法があるのか、
もう、眼科専門病院にいってもらいますが、
手術で、
こわれた、水晶体を超音波乳化吸引して、
眼内レンズをいれます。
角膜を縫合して、穴をふさぎます。
横浜どうぶつ眼科のHP
http://yokohama-eye.com/
(今回のセミナーの講師の先生でした)
子犬がしつこく、猫ちゃんにからむと、猫ちゃんもイライラしてしまいます。
子犬と猫を同居させる場合は、
猫ちゃんが、しつこい子犬から逃げれるようにキャットタワーをおいてあげる(高いところへの避難)
猫ちゃんの爪を、短く切っておく。
という対策が必要です