ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

動物の大学病院

獣医学科のある大学には付属動物病院があります。ここでは、町の動物病院ではできない検査、CTやMRIをとって、精密検査をしてくれます。
動物が重篤な病気になっても、「大学病院までは、いいです」って躊躇される方や実験動物になるのではっ心配される方もいますが、わたしたち、人間も、町医者さんでできないCTやMRIは総合病院にいって検査をうけてきますが、動物の大学病院とは、そういう総合病院だとお考えになってくだされば、それほど敷居が高くないと思います(二次診療の病院なので、開業動物病院からの紹介が必要です)。
さて、大学病院ではどういう感じで、検査と治療をしてくれるのかを、例をあげてみます。

先日、東大の付属の動物の大学病院のセミナーにいってきましたが、そこでのセミナーの内容でご紹介します。

16歳の猫ちゃんが突然貧血になって、ぐったりしました。
で、開業獣医さんから東大の付属病院に紹介されました。

まず、内科で診察
①  そこで、血液検査と、通常の動物病院では、院内でできない血液凝固検査
(つまり、どこかで出血しているから貧血しているだろう、血液をとめる力がないと、貧血がおこるから)

②レントゲン検査
③腹部超音波検査
 おなかの中に腫瘤があることが判明

そして、画像診断の専門獣医さんのところにいきます。
④ここで、精密検査のため、造影CT検査
  おなかの中のしこりが、どこからきているのか、 どこにあるのか、リンパ節に転移していないのか、 肺に転移していないのか、腹膜炎はないのか、を
 調べます。

⑤ふたたび、内科の先生が、エコーガイド下で(血管にあたるといけないので、カラードップラという高価な超音波診断装置を使って)おなかのしこりに針をさして、リンパ腫かどうかを調べます。(からだの外から針をさします。鎮静化で行わないと、猫ちゃんが動くと、針があらぬところをさす危険があります)

⑥貧血がひどいので、内科の先生が輸血をして、猫ちゃんの状態を手術に耐えられるよう、とりあえず、改善させます。

⑦つぎに、外科の先生の出番です。おなかをあけて、問題のしこりを切除します。

⑧腫瘍であること、高齢であるので、手術して切った腸がうまく、くっつくのか、という問題があります。

⑨手術が終わっても、おなかにドレーンという管をいれて、腹膜炎がおきないように、入院します。

⑩この猫ちゃんは、消化管間質腫瘍という悪性の腫瘍で猫ちゃんでは、きわめてまれだそうです。腫瘍のところから、じわじわ出血して貧血になったとのことでした、手術してから329日、元気にしているとのことです。

というような、感じで、内科と画像診断科と外科の先生たちがチームになって、猫ちゃんの病気の診断治療をしているというお話でした。
二次診療病院では、開業の小さな病院ではできないレベルの獣医療を提供してくれます。