ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

黒色腫(メラノーマ)

黒色腫は、眼球、眼瞼、口の中、皮膚、包皮、陰嚢にできる腫瘍です。すべてが、黒い腫瘤というわけではんなく、なかには、色素がぬけた赤いものもあります。

1)口の中のメラノーマ
犬の口の中の悪性腫瘍のうち、黒色腫は、30-40%を占めます。老齢のワンコに多く、平均年齢は9-125歳齢で、オスのワンコに多いです。プードルやパグさんなど、口の中の粘膜が色素沈着しているワンコさんに多いといわれています。
ネコさんでは、口の中の黒色腫はまれです。

口の中の、歯肉、唇の粘膜、上あご(硬口蓋)にできます。この腫瘍は、急速に成長し、もろくて出血性の軟部組織の腫瘤となり、黒いものや、色素沈着していないものもあります。この病気にかかりますと、リンパ節や肺に転移しやすく、骨に侵潤する場合もあります。腎臓、心筋、脳などに遠隔転移するものもあります。早く転移する悪性度の高い場合は、予後はわるく、生存期間は3-6カ月程度です。治療は、外科的切除と放射線治療です。発生部位が口の中ですと、外科的に完全にとりきるのが、かなり困難です(顎をとってしまうくらいの、大がかりな手術になってしまいます)。残念ながら、この病気にかかりますと、治療が難しいケースが多いです。

2)眼のメラノーマ
犬では、眼の中の腫瘍で最も多いです。角膜や、結膜、瞬膜(第三眼瞼)、眼の奥(特に前部ブドウ膜)に発生し、主にシニアのワンコに発生します。ワンコでは、全般的に眼のメラノーマは良性の腫瘍が多いといわれています。
腫瘍が増殖している場合は、眼球摘出など、積極的な治療が必要になります。

3)皮膚のメラノーマ
皮膚のメラノーマは、頭や四肢(前肢、後肢)に多く発生し、良性の場合が多いです。爪の先のメラノーマは悪性が多いといわれています。(しかも、肺に転移しやすい)
悪性の皮膚メラノーマを発生しやすい犬種は、Mシュナウザー、スコテイッシュ・テリアといわれています。