ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

怪我したら、傷口を消毒してはダメ

年末年始、もしも、犬猫さんが怪我してしまったら、
かかりつけの病院もやっていないし、
しょうがないから、
ドラックストアで買ってきたマキロンを毎日塗れば、、、

なーーていうのは、
実は、傷の治りを悪くしてしています


1.消毒をしすぎるのは逆効果です。

理由は
1)いくら消毒しても、傷の表面の細菌は消毒できても、消毒剤は傷の奥のところ(肉芽)まで届かないので、細菌は残ってしまいます。
だから、傷の消毒は無駄です。

2)消毒剤は、無駄なだけでなく、むしろ、傷の治りを遅くしてしまうのです。消毒剤は、細胞毒があるので、細菌だけでなく細胞も殺傷します。だから、毎日消毒すると、体が傷を治すためのプロセスを邪魔してしまって、傷が治りにくくなります

2.傷を覆ってはいけません。(密封してはダメ)
傷をふさぎたくなりますが、(受傷直後ならいいですけれどね)
傷を覆ってはいけない理由は

体が傷を治すときに、浸出液がでます。それを外に排泄できないように覆ってしまうと、なかで細菌感染がひどくなってしまいます。
だから、乾燥したガーゼを張り付けてはいけないのです。
(浸出液と一緒になって、傷口にはりついて、とるときに、治りかけの組織まではがしてしまうことになります)

傷口の穴をみると、へこみますので、
そういうときは、
浸出液を閉じ込めることのないフィルム剤がいいといわれています。ドレッシング剤も、いいような気もしますが、これも菌の温床になるのではないかという指摘があります。

3.出血していたら、ふいてはだめ
血がでているから、ふきとると、また、じわーっと出血してしまって、あせりますよね。

体が血をとめて血腫をつくろうとしているのに、それをふいてしまうと、せっかく血を止めている血餅をどかしてしまうからです。
出血していたら、ふきとらずに、ガーゼがタオルで押さえる、血がとまるまで、じーーーっと抑えてくださいね

血液は、特に血小板の中に傷の治癒を促進するサイトカインが多く含まれているといいます。血がとまって血腫になりますが、その血腫のには、フィブリンが含まれていて、傷を治す足場になっています。それを消毒薬で洗ったりしますと、細胞も傷つき、血腫もなくなってしまって、そこに乾燥したガーゼをあててしまうと、細胞やサイトカインが働けない環境になり、傷が治りにくくなります。(味方の後方で誤射するようなもの)




ドックランでの咬傷事故にお気をつけください。