ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

リンパ管拡張症

ヨーキーに多い腸の病気です

1)原因
 全身あるいは一部で、リンパ管が異常に大きくなる(拡張)
 肝臓に栄養を運ぶ門脈圧が上昇する(心臓の右心不全、大静脈閉塞、肝臓の疾患が原因)
           
      

リンパ管が拡張すると

 タンパク質を豊富に含むリンパ液が腸管に漏出したり、
長鎖脂肪酸の重度の吸収不良になって、

血液検査をすると

 重度の低タンパク血症でアルブミンが低くなります。


2)症状
 腹水です!!

  腹水をぬくと、黄色かったり赤かったりはしません。タンパク漏出液は、無色透明です。
感染をおこしていると、黄色かったり濁ったりしています。ただ、腹水を大量に抜くと、低血圧になったり、ショックをおこす可能性がありますので、腹水をいきなりたくさん抜くのは危険な場合があります。


体重が減少
(タンパク質の栄養がとれないから)

慢性下痢

足がむくんだり、浮腫

低カルシウム血症になるので、ひどくなると、けいれん発作をおこす可能性があります。

急死することもあります。

凝固因子が不足して、血栓ができやすくなる場合もあります。

3)診断は内視鏡で生検ですが、全身麻酔が必要です。
血液検査では
  低タンパク
  血小板増加症
  低アルブミン血症
  低コレステロール血症
  低カルシウム血症
  ビタミンD欠乏
  ビタミンK欠乏
  マグネシウムの低下


4)治療
①低脂肪食を与える(乾燥重量あたり脂肪の含有量15%以下)
高線維食は推奨されていない(痩せているのに、ダイエットすることないですよね、)

低脂肪の加水分解タンパク食がおすすめです。
 

②中鎖脂肪酸トリグリセリドオイル(ココナッツオイルを体重1キロあたり、0.5-2ml、1日1回食事にまぜる)

③1-2㎎/㎏のプレドニゾロンを1日2回内服する
重度の消化不良があれば、注射が有効

これで、反応しなければ、免疫抑制剤(シクロスポリン)

④消化管の細菌の体内移行リスクを減らすため
 メトロニダゾール、あるいは タイロシンの投与

⑤腹水があれば、利尿剤

⑥凝固機能が亢進している場合は、血栓塞栓症予防のためにアスピリン投与(胃潰瘍に注意)

5)予後
治療しないと腹水がどんどんたまって、やせていき
死亡します。
血栓塞栓症で突然死もあります。
予後は、文献をみると、様々です。





2/26は、風呂の日