ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

猫のフィラリア症ーーー突然死の原因!

お外におでかけする猫ちゃんに注意したいのが、

犬の病気と思われがちな

犬糸状虫(フィラリア)症です。

これは、蚊が媒介する寄生虫です。

猫ちゃんは寄生虫の本来の宿主ではないので、犬よりは、耐性があるので、
犬ほど感染したときに、心臓にわさわさと虫がわくということはありませんが、
猫ちゃんが感染すると、1−3匹の成虫しか心臓に寄生しません。
ですが、猫ちゃんは、犬よりは小さい(でもないこともありますが)ので、血管は犬よりも細い、でも、虫の大きさは同じ、ということで、
犬よりも症状が重くなり、血管がつまって、肺の炎症が強くなり、肺での酸素交換がうまくいかず、犬よりも早く死亡する可能性が高いです。

症状は
 感染してもあまり症状が出ませんが、
体重減少、喘息のような呼吸、嘔吐、よく寝る(沈鬱、嗜眠)、咳がでる、
といった症状です。

ですが、フィラリアの成虫が死滅して、血管につまってしまう(血栓をつくる)、あるいは、アレルギー反応で、突然死の原因になったりします。

診断は
血液の抗原検査は、少数寄生の場合、見逃される可能性があります。ミクロフィラリア症になることはないので、血液検査でみつけにくいのです。
レントゲン検査でも特徴的な所見がみつかりにくいといわれています。(つまり、死後に解剖してはじめてわかるようなものです)


病態は、
肺動脈に虫が寄生する→肺の血管と肺そのものに急性炎症反応をひきおこす→喘息あるいは、アレルギー性気管支炎のような症状をおこす。

虫は2−3年くらいで死滅するので
虫が死滅→肺や肺の血管で血栓となり、肺の炎症や塞栓を起こす→急性肺損傷

虫が大静脈や心臓の右房に移動し、心臓の弁の動きを邪魔する→心臓の動きを悪くする(大静脈症候群)

治療
 プレドニゾロンの投与によって、虫がおこすアレルギー反応を抑える
外科手術(一般的ではないです)

国内での発生は、

神奈川県横浜市(室内飼育なのに)
東大和市(室内飼育)
千葉県では、地域猫の抗体保有率は82頭中9頭という11%陽性の結果が!
などなど

この病気にかからないためには、

なんといっても、予防です。

月に1回だけ、背中につけるだけの
フィラリアと回虫、ノミを予防してくれる
レボリューションというお薬があります。
猫ちゃんにお薬を飲ませるのはたいへんですから、

背中につけるだけというお薬は
ラクですよね。

お外にでかける猫ちゃんは、特に、予防されたほうがいいと思います。


蚊がでてきました。犬も猫もフィラリアの予防をしましょう。