脊髄の病気
1)脊椎の発育異常
ブルドック系のワンコに多い
半側椎骨、脊椎二分、蝶形椎骨など
脊柱管が狭くなって麻痺を起したり、異常な脊椎前後の椎間板がヘルニアをおこし、麻痺するといった病気の可能性があります。
検査は、CTとMRI
2)椎間板ヘルニア
脊柱管内に椎間板物質が突出する病気です。
椎間板物質が石灰化していないと、CT検査で描出できません。
脊髄造影検査が必要となります。
ハンセン一型(ダックスさんに多い。急性発症)
ハンセン二型(シニアの大型犬に多い。
このタイプですと。数か月から数年かけて徐々に悪化 します。)
3)進行性脊髄軟化症
脊髄損傷や、椎間板ヘルニアが原因で二次的に発症することが多いです。
椎間板物質の髄核が突出して、脊髄に重度のダメージをおこします。脊髄自体が出血や虚血性壊死(軟化)を起こします。さらに、脊髄軟化は脊髄損傷後72時間以上かけて、損傷部位から脊髄の神経線維に沿って頭と後ろの両方にむかって進行します。
最初は後ろ足だけの麻痺だったのが、どんどん進行して、前足も麻痺して、歩けなくなります。
ホーナー症候群も併発して、瞳孔が小さくなって、目がへんな感じになります。
そして、最後は呼吸筋麻痺がおこって、死亡します。
この病気は、
予後不良(助からない)
どんどん、悪くなって進行する
急性発症(突然、おきる)
痛がる
4)線維軟骨塞栓症(脊髄梗塞)
脊髄の血管が、つまってしまう(塞栓)急性の虚血性神経障害です。
椎間板の髄核(線維軟骨)が脊髄の血管にはいってしまって、血管がつまる原因が一番多いといわれています。
脊髄の左右の血管が同時に塞栓するわけではないので、どちらか一方の梗塞が起きます。
痛みがない(椎間板ヘルニアとは違う)
発症から24時間以降は進行しない
神経異常の場所と重症度は、梗塞の部位と程度によって決まりますが、多くは無治療で回復し、予後は比較的良好といわれています。
確定診断は病理組織検査ですが、これは、通常行わないです。
MRIで、脊髄梗塞を示唆する病変の限局性をみて、ほかの脊髄疾患(椎間板ヘルニア、脊髄腫瘍など)の除外診断をします。
5)脊髄炎
ウイルス、細菌、原虫による感染症、
肉芽腫性髄膜脳脊髄炎(GME)、
ステロイド反応性髄膜脳脊髄炎、動脈炎などの非感染性疾患
6)変形性脊髄症
ウエルッシュ・コーギー、
ジャーマン・シェパード
数か月から数年の慢性経過で、後ろ足から徐々にはじまって、前足も麻痺していきます。
遺伝子診断もあります。
治療方法はありません。
7)キアリ奇形
脊髄の中心を走っている脊柱管に、小脳などの脳の一部がはいこんで、脳脊髄液の流れを邪魔します(脊髄空洞症)。先天的奇形です。
マルチーズ
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
に多いです。
症状は、体の皮膚をやたらと掻くひっかき行動
知覚過敏
首を痛がる(頸部痛)
運動失調
診断 MRI
8)硬膜外腫瘍
脊椎の腫瘍が脊髄を圧迫して麻痺を起す
原因は脊椎の骨の腫瘍
骨肉腫、ガンの転移、形質細胞腫、血管肉腫など
診断 骨の病理検査
9)腫瘍
髄膜腫、髄内腫瘍(リンパ腫、軟骨腫、腎芽腫、転移性脊髄腫瘍など)、末梢神経腫瘍