ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

FIV(猫免疫不全ウイルス)感染症 猫エイズ

猫ちゃんに猫エイズという病気があります。人のエイズウイルス(HIV)と類似したウイルスですが、人にはうつりません。このウイルスがリンパ球などに感染し、感染した猫の免疫系を破壊します。発症すると、免疫不全症になり、口内炎や、肺炎をおこし、衰弱していきます。

①感染経路
 猫どうしの争いによる咬傷や交尾などを介した直接的なものです。触っただけでは感染しません。
人にはうつりません。

②症状
 感染後すぐには、発熱や下痢などの、風邪のような症状がでることがあります。落ち着くと、感染しても症状を示さない無症状期が数か月から数年持続します。

③発症すると、、
 すべての感染猫が発症するわけではありません。

口内炎や歯肉炎
 涎がでて、硬いドライフードが食べれなくなります

上部気道炎
 鼻水をたらしたり、くしゃみしたりします。
消化器、皮膚の感染症

最後は、免疫不全になり、日和見感染(ふつうの猫ちゃんなら大丈夫であるような弱い病原体に感染する)や、骨髄異常にともなう貧血、脳炎、腫瘍などがみられることもあります。

④感染の確認
血液中のFIV抗体検査
ただし、ウイルスに暴露されて感染が成立してから抗体が検出されるので、感染疑いのある時期から1-2カ月たたないといけません。その前ですと、偽陰性結果がでる可能性があります。
FIV感染母猫から生まれた子ネコは、生後12週齢まで移行抗体をもっている可能性があるため、この期間の検査では、偽陽性結果がでることがあります。

⑤治療
抗ウイルス薬(根治治療ではありません)
病態を進行させないためのものです。


猫ちゃんを外にださないで、室内飼育する。
感染猫と直接の接触させない。
外にいく場合は、ワクチンを接種する。(100%の防御率ではありません)


結論
 子ネコがFIV陽性結果がでても、偽陽性の可能性がありますので、再検査しましょう。
たとえ、陽性結果がでても、すべての猫は発症するわけではないので、よい環境で室内飼育すれば、長期間、発症することなく健やかに過ごせる可能性があります。