ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

アジソン病

副腎皮質機能亢進症という病気(クッシング症候群)がありますが、その逆の病気で副腎皮質機能低下症(アジソン病)というものもあります。猫ちゃんは、きわめてまれです。犬では、特発性(原因不明、自己免疫ということ)の副腎が委縮してしまって、アジソン病になることが多いです。


①原因
 ・自己免疫による副腎皮質の委縮
 ・感染、転移性の腫瘍や、クッシングの治療薬によ  って、副腎皮質が破壊される。

②症状
 ・グルココルチコイドが減少するので、様々な症状がでます。
 虚弱、体重減少、食欲不振、嘔吐、吐出、下痢、血便、多尿、乏尿、除脈、低体温、振戦、けいれん

強いストレスがかかりますと、アジンソクリーゼというショック状態になって、突然死することもあります。

③非典型的なアジソンの症状
グルココルチコイドのみが不足し、ミネラルコルチコイドの分泌が保たれるアジソン病もあります。この場合は、非典型的なアジソン病で、血中電解質(特にカリウム)の異常はなく、慢性の消化器疾患や虚弱になりますが、アジソンクリーゼに陥って、緊急治療の対象になることは少ないといわれています。

④アジソンクリーゼの症状(ショック状態)
電解質異常がおこります。低ナトリウムと高カリウム血症
虚脱状態(ぐったりしています)

この場合は、生理食塩水(カリウムがはいっていない)の静脈点滴をして、電解質を補正してあげ、ステロイドの投与などの緊急処置が必要になります。

⑤診断
ACTH刺激試験と行います。合成ACTHの注射をして、60分後の血清コルチゾール値を測ります。3.0μgdl未満であれば、アジソン病と診断します。

⑥治療
酢酸フルドロコルチゾンという薬を、臨床症状と観察しつつ投与量を増減し、維持量を決めます。この薬単独で維持できない場合は、低用量のプレドニゾロンあるいはヒドロコルチゾンを併用します。

DOCPという持続型のミネラルコルチコイドの注射がありますが、日本では発売されていないので、個人輸入になります。1回の注射で3-4週間、血中電解質が正常化します。まず1回注射し、1週間ごとに血中電解質を測定し、正常化している期間をみきわめ、投与量と投与間隔を決めます。DOCPはグルココルチコイド作用をもたないので、低用量のプレドニゾロンかヒドロコルチゾンを併用しないといけません。この注射の適応となるのは、そのワンコさんがフルドロコルチゾン抵抗性の場合や、薬の副作用で逆にクッシング症状がでた場合です。

特発性のアジソン病の予後はよく、適切な維持治療が行われているかぎり、寿命はまっとうできるといわれています。