ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

猫白血病(FeLV)の治療

猫ちゃんには、いろいろなウイルス性感染症があります(エイズ、伝染性腹膜炎、など)。いずれも人間にはうつりません。猫白血病ですが、これは感染猫さんの糞便、血液、唾液、涙から、母猫さんの胎盤、乳汁から、と感染します。母猫さんから感染した子ネコの死亡率は高いです(生後すぐに感染すると死亡率100%)。1頭の感染猫と同居している猫さんは、残り1/3は感染しているといわれています。
ウイルスに感染しても、リカバーした猫さんの予後は2通りです。ひとつは、いったん、回復したようにみえる、「みかけ状の回復」猫さんと「本当に回復した猫さん」がいます。みかけ状の回復した猫さんは、骨髄にウイルスが持続感染して残っています。そして、血液中にウイルスが残って陽性になっています。このような。持続感染猫さんは(みかけ状回復したようにみえる)約3年以内に発症して死亡するものが多いです(80%)。
ウイルス感染して、本当に回復した猫さんの場合、血液中から感染性ウイルスが消失し、6-9カ月間(あるいは1年以上)骨髄に潜伏感染します。潜伏感染中、妊娠、出産にともなう免疫抑制でウイルスが再活性化することがありますので、注意が必要です。この潜伏期間中を注意すれば、寿命をかなりまっとうできるかもしれません。ただし、白血病ウイルスに感染しても回復した猫さんは、ウイルス再感染はないのですが、一度も感染したことのない猫に比べ、リンパ系腫瘍発生のリスクが高いといわれています。
さて、この病気の治療方法ですが、感染直後の急性期にウイルス生産量の減少させるため、猫インターフェロンの連日あるいは1日おきで、数日間注射します。
このウイルスは、室温では数分から数時間で感染性を失います。塩素系の消毒薬で消毒したり、さわったあとは手を洗い人間の手が媒介にならないよう、もちろん、感染猫さんと他の猫さんの隔離が大事です。
猫ちゃんの白血病ワクチンがありますが、副作用が強く、注射を打った場所が腫れたり(肉腫)します。外に頻繁にでかけ、ケンカをよくする猫さんや感染猫と同居している猫さんのみにおすすめします。
白血病にかかっているかどうかは、血液検査でわかります。ウイルスの抗原を調べるのですが、感染の可能性のある日から28日以内に陽性となるといわれていますので、28日以降に検査することが有効です。ですが、潜伏期で陰性にでる場合もありますので、3カ月間隔で陰性が2回連続して得られるまで確定ではないということで、陰性でも陽性でも、暴露の危険性があれば、再検査したほうがよいとのことです。
子ネコは移行抗体に左右されるので、陽性の場合、生後6カ月で再検査したほうがよいでしょう。
長くなりましたが、結論は、
お外でケンカして帰った猫さんには、猫白血病猫との接触の疑いがあるのであれば、すぐにインターフェロンを3日連続注射してあげて、ウイルス血症になる前に抑え込んでしまいましょうっということです。
そして、不幸にも白血病になってしまっても治療の可能性があるということです。