ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

IBDと食物アレルギー

慢性的な下痢と嘔吐
ステロイドを飲むと、なんだか、治る
内視鏡検査をすると「リンパ球プラズマ細胞性腸炎
というような病気があります。

炎症性腸疾患(IBD)と診断されることが多いですが、

もしかしたら、食物アレルギーということも可能性としてあります。
人間のIBDは、犬と違って、下部消化管内視鏡検査から90%がクローン病と潰瘍性腸炎の鑑別ができるそうですが、犬の場合は、そこまでの確定診断ができるほどの特徴的な所見がないそうです。

だから、

慢性的な下痢嘔吐が続いたら、

異物や腫瘍の可能性がないのなら、

まずは、食物アレルギーを疑って
除去食を試みるといいといわれています。
内視鏡の病理検査で「リンパ球プラズマ細胞性腸炎」「好酸球腸炎」といわれても、そく、IBDというわけではありません。
なぜなら、これらは病変の状態を示しているもので、IBD以外の腸炎でも起こりうるからです。また、正常な消化管粘膜でも、いろんな免疫応答が常に働いているので、正常状態でもリンパ球や好酸球、プラズマ細胞などが存在しているので、この病理検査だから、すぐにIBDだ、ステロイドや免疫抑制剤を飲む治療というのも、早計だといわれています。

IBDと診断された慢性消化器症状を示す犬にリンパ球反応性検査をしたら、ほとんどの犬で、複数の食物に陽性反応、弱陽性(要注意)がでたそうです。
そこで、アレルギーの原因となる食物をのぞいた除去食をしたら、およそ60%でステロイドを使用せずに除去食の実施のみで症状の改善が認められたという報告があります


若いのに、慢性的な下痢嘔吐が続いたら
全身麻酔内視鏡検査をする前に
まずは、食物アレルギーの検査をして
それから除去食を試みてもいいかもしれませんね。

市販の低アレルゲンとやらのフードはあてになりません。
それらにも、アレルゲンとされるタンパク質は含まれています。加水分解タンパクは、リンパ球タイプの食物アレルギーにかかわるリンパ球によって、認識されてしまうため、加水分解のフードでも、アレルゲンになってしまうことがあります。


食物アレルギーかもという症状は
・若いときから発症
・1日3回以上の排便
・軽度の体重減少
・以前にIBD,胆管炎、膵炎などにかかったかも


お気に入りの写真をウオールアートといって、木にプリントしてもらいました。写真のような絵の仕上がりです

(黒部アルペンルート 立山の室堂)