ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

マラセチア皮膚炎

マラセチアは、真菌の一種で、酵母菌です。
正常な犬猫の皮膚や耳の中、鼻、口、肛門周囲、膣にいます。
このマラセチアが異常に増えてしまってマラセチア皮膚炎をおこします。

1)原因は
 その犬の皮膚のバリア機能が低下したためです。
 ブドウ球菌が増える膿皮症になると、マラセチアが過剰に増える微生物間の共生関係があります。
ほかの犬からうつるわけではありません。
健康な人にはうつりにくいですが、免疫の弱い乳幼児は気を付けてください。

マラセチア酵母菌は、湿度が高いと増えます。
ということで、
耳の中のように、湿度が高かったり、べたべた脂症の皮膚で過剰に増えてしまいます


甲状腺機能低下症や、副腎皮質機能亢進症、糖尿病のような内分泌疾患があると、酵母菌が利用できる栄養素や増殖因子を増加する(皮膚脂肪酸濃度、角質細胞の資質形成異常、皮脂腺機能)ので、マラセチア皮膚炎になりやすいです。

つまり、
・膿皮症
・好発犬種(遺伝的要素がある)
・内分泌疾患
・ノミアレルギー性皮膚炎
・食物アレルギー
・アトピー性皮膚炎 

これらがあると、角質層のバリアが崩壊されるので、もともと皮膚の常在菌である、マラセチア酵母菌が増えてしまって、マラセチア皮膚炎を併発しやすいのです。

2)好発犬種
Aコッカ、シーズー、ウエステイー、トイプードル、キャバリア、ダックス、
シェパート、バセットハウンド

3)症状は
 酵母は、宿主の広範囲の免疫応答を誘発するので、
アレルギー皮膚炎みたいに、痒がります。

温かく湿った部位に発生しやすいので、
口唇、耳、脇(腋窩)、鼠蹊部(お股のところ)、首、太ももの内側、指の間、肛門周囲、陰部周囲

皮膚は赤くなり、黄色や灰色のフケや痂疲がでます、
ベタベタすると、においが強くなります


4)季節
 湿った時期、梅雨や夏

5)治療
抗真菌剤の塗布
抗真菌の薬用シャンプー
抗真菌剤の内服(肝臓に注意)
ノミダニの駆除