ひざの靭帯がきれる
先日、麻布大学の整形外科の先生のセミナーにいってまいりました。夜のセミナーなので、近いし、とってもありがたいセミナーです。
ひざの前十字靭帯という靭帯がきれることがあります
1)症状は、
小型犬や大型犬でも、中年や老年になって、歩けなくなった、という場合は、この病気が考えられます。
慢性断裂の場合は、膝の内側がはれています。でも、足を上にあげることはなく、なんとなく歩いてしまったりします。ただし、膝蓋骨が脱臼すると、足をあげて、着地できません。(膝を伸ばすことができない)カニのようにヨチヨチあるきます。
運動をしたあとに、悪化します。
靭帯がきれている場合、
起たせてみると
左右の筋肉の量がちがいます。
悪い方の足の筋肉がおちています(痛いので、足を使わないから)
太ももの前の筋肉が委縮します(馬尾症候群だと、太ももの後ろの筋肉が委縮します)
そして、痛いところのひざがはれています。
靭帯がきれると、
ひざが不安定になって
関節の炎症が進み(骨関節炎)、半月板も損傷してしまいます。
前十字靭帯は、脛骨が前にすべるので、それを防止する役目があります。この靭帯がきれると、
脛骨が前にすべって、やがて、膝蓋骨が脱臼してしまいます。こうなると、
骨関節炎と半月板損傷、そして、ひざが緩み、ひざを伸ばすと痛い、だから、ケンケンして歩いてしまいます
2)原因は
中年から老年でおきるのですが、普通の生活をしていても、おこってしまいますので、防ぎようがありません。
飼い主さんが、飼い方が悪かったとか、後悔をしないでください。
・外傷性断裂
・病的断裂(普通の生活でもおきます。)30%両方のあしの靭帯がきれます。(年齢とか、免疫介在性の関節疾患、炎症性疾患、特発性変性、血管供給の低下など)
ひざを損傷するタイミングは、
①ひざの関節が20-50度の屈曲における急な回転をする(方向転換するとき)
②歩いているときに穴に足がはまってしまって、膝が過度に伸びてしまった
③ひざに直接的な負荷(へんな、整体マッサージはやめましょう)、
小型犬がひざのお皿が内側に脱臼しやすいので、靭帯に負担がかかりやすいから、靭帯がきれやすいです。
だから、ソファの飛び降りとかフローリングでのボール遊びはやめたほうがいいですね。
3)治療
15キロ以下の小型犬では、(靭帯断裂だけの場合に限って、膝の脱臼がなければ)手術しなくても、猫と同様に、内科的治療で様子をみます。
猫ちゃんは、1-18週間で保存療法で回復するそうですが、8週以上、足を引きずる場合は、半月板損傷が疑われます
15キロ以上の中・大型犬には、外科手術が推奨されます。
手術方法はたくさんあって、ベテランの症例数豊富な病院での手術が安心ですよね。
麻布大学では、脛骨を切って、プレートをはめて、脛骨がすべらないように固定するTPLOという方法がメインだそうです。