ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

犬の副腎皮質機能亢進症の治療薬

副腎皮質機能が亢進してしまう病気(クッシング症候群)があります。
シーズーに多いです。

治療薬はアドレスタンという犬用の薬です。
この薬は、副腎皮質に作用して、コルチゾールというホルモンを作らないようにする薬です。

でも、薬にはつきものですが、このすばらしい薬にも副作用があります。
もちろん、かかりつけの病院の指示にしたがってのまれているので、大丈夫ですが、
まさか、ネットで海外から個人輸入して、飲ませている方はよもやいらっしゃらないと思いますが、念のため、書いておきます。

1)アルドステロンというホルモン(硬室コルチコイド)も抑制するので、併用する薬に制限があります。
 たとえば、心臓のための薬ACE阻害薬です、この薬を併用すると、アルドステロンの分泌をさらに抑制するので、電解質異常や高窒素血症のリスクが高くなります

2)カリウム保持の利尿薬スピロノラクトンと併用するのは、慎重に
 心臓が悪いと、利尿薬を飲む場合があります。これもアルドステロンの抑制作用があります。
併用注意です

3)カプセルを割ってはいけません
 とくに妊娠中の女性は、このカプセルをわって、粉末を吸い込むのは危険ですね。

4)腎臓が悪い犬には、よくありません
 腎臓が悪いと、薬剤の排泄機能が低下しているので、薬理作用が強く出てしまう可能性があります。
アルドステロンの合成作用もあるため、腎臓の血流量低下の懸念があり、高窒素血症や電解質異常を悪化させる可能性があります。

5)貧血の犬にはよくありません。
 アドレスタンには骨髄抑制作用があるわけではありませんが、貧血を助長する可能性があります。

ということで、この薬を飲み始めると、クッシング症候群の症状の多飲多尿、いつもハアハアしている(パンテイング)、、数日から2週間で改善します。脱毛は4-8週間、おなかがパンパンになっている腹部膨満が3-12か月で改善するといわれています。
この間、副腎皮質機能が逆に低下しすぎていないか、ACTH試験をして、肝臓腎臓貧血などもモニタリングして慎重に投与しないといけません。
なかなか、この病気の治療はやっかいです、
アメリカだと、安楽死の対象になるそうです、
日本は、がんばって治療するのが常です。
この病気になってしまったら、飼い主さんはとてもたいへんだと思いますが、どうぞ、がんばってください。

この薬は食事を一緒に投与することが推奨されています(吸収がいい)

アンデイくんも、このツールで飲んでいます(クッシングではありませんが)