ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

悪性の腫瘍か、良性かみわけるポイント

体に腫瘍ができると、あせりますよね。

悪性か良性かを見分けるポイントは


1)良性腫瘍
①大きさと形態
  良性だから大きくならないというわけではありません。
ただ、大きくなる場合でも、悪性と違って、膨張性に大きくなります。

②境界、
周囲との境界が明瞭で、コロコロっとしていて、正常な皮膚との境がわかりやすい

③発育速度
  発育速度は遅く
  ぼわーっと大きくなるものもありますが、悪性ほどは急激に大きくなったりはしません。ですので、
昔からあって、長年ずーっと、サイズが同じものなら、良性の腫瘍の可能性が高いです。

④増殖性
  モリモリっとやな感じで盛り上がるような増殖性は弱いです。

⑤再発性
  再発しないわけではありませんが、悪性腫瘍よりは少ないです

⑥転移性

 ここが、一番の違いで、
悪性腫瘍は、体表の腫瘍でも、体のなか、肝臓や肺に転移しますが、良性の腫瘍は再発しても、ほかに転移することはありません。


2)悪性腫瘍

 見た目も、毒々しく、毛がぬけて、赤く炎症をおこして、膿がでたり、痛々しい感じです。
皮膚の腫瘍でも、悪性腫瘍だと、

よく吐いたり、下痢したり
食べているのにやせてくる、
ほほがこけたような、頭が三角形になって、
顔つきが病的になる
元気がない

というような変化がでてくる場合が多いです。

①形態
  浸潤性に大きくなります。サイズは小さくても周りの組織に繰り込むような感じがあります。

②境界、
周囲との境界が不明瞭です。

③発育速度
  発育速度は速いです。急激に大きくなった腫瘍は要注意です

④増殖性
  モリモリっとやな感じで盛り上がり、増殖性は強いです。

⑤再発性
  再発性は強いです

⑥転移性
 ここが、良性との一番の違いで、
悪性腫瘍は、転移するのが多いです。
血液や、リンパを介して、播種性に転移します。
腸の腫瘍が、門脈から、肝臓に転移したり、あるいは、肺に転移したりします。
肥満細胞腫なら、肝臓や脾臓に転移したり、前立腺がんなら骨に転移するなど、隣の臓器でないところに遠隔転移したりします。



ということで、
見た目では、なんの腫瘍か、悪性か良性かは、正確に判別はできませんが、ある程度予測できる場合があります。


皮膚の腫瘍でよくあるのが、
毛包上皮腫

とても大きいですが、まわりの組織と境界が明瞭で
膨張性の腫瘍です。これは良性です。