ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

肝臓の病気の多い犬種

犬種特異的肝障害というのがあります。

1)ベドリントン・テリア
 あんまり、日本にいない犬種なので、関係ないわっていう方が多いと思いますが、参考にしてください

 遺伝性代謝障害のため、銅関連性慢性肝炎をおこす犬種といわれています。
 つまり、遺伝的に銅の代謝が悪くって、肝臓に銅が蓄積しやすくなる病気です。銅がたくさん、肝臓にくっつくと、まあ、当たり前ですが、よけいなものが、くっつくと、いろいろジャマですよね。ということで、
銅が蓄積することによって、肝臓障害が発生するということです。



①診断
画定診断は、肝臓の生検です。

血清ALT活性の上昇


②症状
  最初は無症状で元気なんですが、進行すると、
急性肝壊死、慢性肝炎、肝硬変の徴候がみられていくといきます。
 
  肝臓細胞の壊死によって、急激に細胞外に放出された銅が溶血性貧血をひきおこすことがあります。そうなると、血尿、貧血がすすみます

③どれくらいの割合
 ベドリントン・テリアの25%が、遺伝性の銅代謝障害になっていて、最大50%がキャリアではないかといわれています。
子犬を購入するときは、親の状況をよく聞いたほうがいいですね。

④治療
 食事による銅制限
 亜鉛補充(多すぎると副作用あり)
 銅のキレート剤の投与
 抗酸化作用のビタミンEの投薬
 ビタミンCは、銅の酸化を助長するので、控える

2)ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
 
  慢性肝炎と肝硬変を発症するリスクが高いといわれています。やはり、銅の代謝が悪いので、銅関連性慢性肝炎
 遺伝病として一生つづく、ベドリントンテリアほど、重篤ではないといわれています


3)ドーベルマン・ピンシャー
 慢性肝炎と肝硬変のリスクが高いといわれています。
銅の蓄積は、それほど高くないのですが、慢性肝炎をおこしやすいといわれています。
出血傾向を示す遺伝病が多い犬種なので、凝固異常と血小板減少症と肝臓疾患の併発が多いといわれています

4)ダルメシアン
 肝臓内銅蓄積症、慢性肝炎、肝硬変のリスクが高い 
胆汁うっ滞性の銅排泄障害で、ALTとALPの上昇がみられることがあります。症状は、食欲不振と嘔吐、下痢です。確定診断は、やはり、肝臓の生検

5)ラブラドールリトリバー
 銅関連性肝臓疾患のリスクが高いです。
 食欲不振、嘔吐、下痢、体重減少
 ALT,ALP,ビリルビンの上昇、低アルブミン
 
治療は、銅キレート剤(ペニシラミン)やプレドニゾロンの投与

6)その他の犬種で銅関連性の肝臓の病気が多い犬は、
 ワイヤー・フォックステリア、エアデールテリア、
 ゴールデン、ジャーマン・シェパードペキニーズ
 コリー、ブルドック、シュナウザー、プードル、
 サモエドなど



真ん中のクッションは偶然、おいてあったのですが、
犬と猫の微妙な距離感をつくってくれました