ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

猫の心筋症

猫ちゃんにも心臓の病気があります。

犬ほど、心臓の病気は多くありませんが、

心筋症といって、心臓の機能不全ということです。

心筋症にはいろいろなタイプがあって、
肥大型心筋症が猫ちゃんにはもっとも多いといわれています。
遺伝的になりやすいのが、

オス猫のほうがメスより多い

メインクーンラグドール、ブリテイッシュショートヘアに多い。

肥大型心筋症は、心筋が大きくなり(肥大)、心筋が本来の働きをしてくれなくなっていきます。

1)症状
最初は無症状、シニアになって、症状がでてきます。

 心拍数の増加
 咳
 不整脈
 心雑音
 心音の微弱(胸水があるとき)
 頻呼吸、呼吸困難(肺水腫、胸水)
 四肢不全麻痺
 低血圧症
 腹水 

心筋が収縮できなくなり、循環が滞り、うっ血性心不全をおこして、最後は肺水腫、胸水にすすみます。

2)動脈血栓塞栓症による四肢麻痺

 これが、一番、この病気でこわいのですが、
 心臓の中で血流の変化や、血液のうっ滞が、心臓の中での赤血球凝集、心臓の中での血栓をつくるリスクを高めます。
この血栓が、大動脈に流れて、全身の血液循環に流れてしまい、主要動脈を閉塞してしまって、四肢のマヒ、腎臓梗塞、突然死をひきおこします。


3)遺伝子検査

 MYBPC3遺伝子の突然変異があるかどうかを調べます。メインクーンラグドールのみ


4)治療
 タウリン欠乏症による拡張型心筋症は、今はキャットフードが充実しているので、少ないです。

一般的な心臓の病気の治療薬(特効薬はありません)
胸水や肺水腫には利尿剤
血栓予防のための低分子ヘパリン(できてしまった、血栓をとかすわけではありません)

5)予後
 127頭の肥大型心筋症の猫の生存中央値は、
症状があった猫は194日
症状がでていなかった猫は3617日(2010年のアメリカの研究報告)

メインクーンって大柄な猫さんです