ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

両耳がおれたスコテイッシュホールド

両耳が折れて、まんまるとした
かわいいスコテイッシュホールド
に遺伝的にみられる怖い病気があります。

骨軟骨異形成症という病気です。
若いときに発症し

前足後ろ足が変形し、進行し、
非常に痛がる病気です。
鼻の軟骨の異形成がある場合は、
時節、鼻血がでます。

治療法はありません。(アメリカでは、安楽死
痛み止めや、グルコサミン製剤をのむだけで、
イギリスでは、
折れた耳同士の繁殖は禁止されています。


新しく子猫を買う方、
両耳が折れた、まんまる、かわいい子猫のスコテイッシュ・ホールドに、こういう、こわい病気があることを
ご承知おきください。


この病気の解説を抜粋掲載します。



骨異常の進行は非常に個体差が大きく、予後に関してはCase by caseですが、一般に不良
です。
足根関節だけではなく手根関節、腰椎、尾椎、中足骨、中手骨に
骨変形が見られることが多いため、変形が非常に強く、痛みの非常に強い個体の場合には
安楽死も考慮せざるおえない場合もあります。

エンドキサンはあまり効果は期待できないと思います。
最近の治療で効果があったと報告されているのは、
Aust. Vet. J , 77, 85-92, 1999
に最も詳しく記述されております。それには

Pentosan polysulphateを
(3mg/kg SC 週1回で4週間)で跛行が軽減したとの報告があります。
また、それに続いて
Complex Glycosaminoglycan (Cartiflex, Pharmedica)
2g PO 毎日を30日間、その後2gを週2回 で猫の不快感がやや改善された
そうです。
どちらも対処療法でしかありませんが..........。

足根関節の外骨腫と関節硬直に対する外科治療は自分の知るかぎり1例で報告があるのみ
です。
JAAHA, 31,280-288, 1995
これは、4歳の去勢雄の Scottish Fold catの足根関節の外骨腫を外科的に切除し
足根関節固定をプレートで行なったもので(左右の足根関節に行なっている)、
術後に指関節の変形性変化が起ってきているものの、
術後96週間にわたり跛行が改善されている。 という報告です。

以下は自分の私見ですが、
この疾患は遺伝疾患であり、明らかに人間が作り出した疾患ですので、
交配した人に、この現状を必ず知ってもらう必要があります。
これ以上、可哀想な猫を生ませないことが非常に重要と思います。

麻布大学 外科学第2研究室
陰山 敏昭