ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

食道狭窄とビブラマイシン

昨日は、日大の消化器科の亘先生のセミナーにいってまいりました。
そこでのお話は、、

食道が狭くなる病気があります。
犬猫さんの場合、ヒトと違って、食道の腫瘍は極めてマレだそうで、
食道に問題がある病気は、

・食道が大きくなってしまう
・食道が狭くなって、食べ物が胃に入っていかない
・食道の動きが悪くて食べ物が胃に入らない、
・食道に異物
・血色食道虫という寄生虫
 この寄生虫は、インドとか、熱帯や温帯のアジアにいる虫で、この虫が食道に寄生して、結節をつくってしまい、
動脈瘤が破裂して突然死を引き起こしたりするこわーい、病気です。日本ではめったにありませんが、海外渡航歴の犬で内視鏡でみつかったそうです。


で、食道狭窄というのは、
食道がなんらかの原因で狭くなってしまって、レントゲンをとると、狭くなったところの上の部分の食道が拡張しています。
直径2ミリとかまで小さくなったりしますので、食べ物が胃にはいっていかなくなり、そのため、食べると吐出といって、食べたものを、すぐに、そのまま吐いてしまいます。
おなかがすいているのに、食べれない、餓死してしまう、かわいそうな病気です。

1)治療法
 薬に反応しなければ(炎症を抑えるくらいで、薬での治療は難しいです)
 内視鏡でバルーンをいれて、狭くなった食道を膨らませます。このバルーンは1本5万円もしますし、全身麻酔で行いますので、費用もかかります。
1回では再発しますので、改善するまで、何度もバルーン治療を行います(そのたびに、全身麻酔)。
咽頭といってのどの近くの食道が狭くなっているところは再発しやすいということで、最高17回もバルーン手術をして、改善した症例もあるとのことでした。

食道は血管分布がすくないので、外科的に切開して広げても、傷口がなかなかつかない、化膿したり、傷口が開いたり、と合併症が多いといわれています。

2)症状
 食べてすぐに吐く(吐出)

3)原因

逆流性食道炎
しょっちゅう、吐いていると、胃の強酸性の胃液が食道に逆流するので、食道に炎症を起こします。
食道の炎症が慢性化して、食道の粘膜が肥厚して、食道が狭くなってしまいます(つまり、食道の壁が分厚くなって、中が狭くなってしまうってことです)

・異物(おもちゃを与えっぱなしはやめましょう)

・しょっちゅう、毛玉はいている猫ちゃんご注意!

・猫にビブラマイシンという抗生剤をのませると、
この薬剤は、PHが低いので、猫ちゃんは食道の動きが犬よりも弱いので、錠剤が食道にはりつくことがあります。すると、酸性の薬が食道粘膜に炎症をおこすことがあります。
薬を飲ませるときは、バターなどの潤滑剤をぬって、薬が食道にはりつかないように、飲ませてあげてください

・手術のあとの食道狭窄
 大きな手術は、時間がかかりますので、食道に胃液が逆流したとき、寝た状態なので、その胃液が食道にとどまることによって、食道炎をおこします。
術後に吐出が続くようでしたら、食道狭窄を起こしている可能性があります。


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