ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

猫の慢性腎不全のステージ

国際獣医腎臓病研究グループ(IRIS)による慢性腎不全のステージ分類をご紹介します

ステージ1
 血漿クレアチニン濃度 犬1.4未満
          猫1.6未満
   腎臓に異常がみられる、尿の比重が低い

ステージ2
 血漿クレアチニン濃度 犬1.4-2.0
            猫1.6-2.8

  多尿多飲といった軽度の臨床症状

ステージ3
 血漿クレアチニン濃度 犬2.1-5.0
            猫2.9-5.0
  さまざまな臨床症状 尿毒症を起こす

ステージ4
 血漿クレアチニン濃度 犬猫ともに5以上
  尿毒症をおこします

アメリカのアニマルメデイカルセンター長のゴールスタイン先生のセミナーでのお話をご紹介します。

定期検診の頻度は
ステージ1なら、3-6か月に1回血液検査と血圧検査、尿検査

ステージ2なら、3か月に1回
ステージ3なら、1か月から3か月に1回

尿検査で尿たんぱく/クレアチニン比を測るのですが、
0.4以上のタンパク尿になると、生存率が下がります

そして、血圧検査ですが、
(安静時の血圧というのが測定が難しい、病院にくるだけで血圧があがりますよね)

収縮期の血圧180以上が高リスクになります。

ということで、
 猫ちゃんなら
 クレアチニンが2.2
 尿タンパク/クレアチニン比 0.6
 血圧180以上で高血圧性網膜症の徴候ありの場合
 
 ステージⅡ タンパク尿あり、高リスクということになります。

では、こうなったら、慢性腎不全の進行を遅らせるために
しないといけないことがあります。
①療法食
 タンパクを制限し、良質なタンパク質をとってもらう
 ビタミンDとビタミンBの添加
 リンの制限(リンって旨味のもとなんで、これがないと、食べてくれないかも、、という問題があります)

②自宅での皮下補液療養
 (当院はこれをおすすめしております)
 50-150CCを週に2回、悪化した場合は、1日1回に増やす。
これは、水分補給のためではなく、具合が悪くなったときの悪い作用の緩和、クッションのためにしてもらうのです。具合の悪い日、吐いた日、食べない日に急性悪化して進行するので、これをやわらげることを目的としています。

③腎臓のために、水分をとってもらうという目的でウエットフードもあげること

④よく吐くなら、胃薬を毎日飲ませるなど、吐き気予防をする

⑤PCVが犬25-30%、猫20-25%に下がったら、増血ホルモン(ダルベポエチン)の投与と鉄剤の補給

⑥高血圧には、降圧剤の投与

⑦リン吸着剤を食事に混ぜる

⑧ACE阻害薬の投与(血圧が高くなく、タンパク尿のない猫に対しては、賛否両論あり)

⑨慢性腎不全の猫の22%に無症候性の尿路感染症があるので、注意が必要(膀胱穿刺して、尿の培養検査)

猫ちゃんに薬を飲ませるのはたいへん!
お食事に薬を混ぜるときは、猫ちゃんにみつからないよう、
こっそりをいれましょうー
猫ちゃんはみています、
あやしいと感づかれると、逃げるか、食べないか、
うーん、猫に薬をあげるのは、たいへんですね!
わたしも毎日、猫のとと太と格闘しています。



 猫もたまには洗ってあげると、さっぱりします、、