ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

薬用シャンプーをつかうときの注意点

ワンコさんが皮膚病になったら、
副作用がなくて、
おうちでできるのが、
薬用シャンプーですね。

薬用シャンプーにはいろいろな種類があります。

①クロルヘキシジン
  多くの細菌、ウイルス、一部の真菌への抗菌作用
  膿皮症に有用
  2%−4%の濃度が必要

②硫黄
  角質溶解作用
  角質形成作用
  抗真菌、抗寄生虫作用

サリチル酸
  角質溶解作用(3-6%高濃度で角質を軟化、剥離)、
  角質形成作用
  軽度のかゆみ止め効果
  静菌作用
  毛穴の洗浄に効果的

④硫黄・サリチル酸配合
  角質溶解作用
  乾性脂漏(乾燥しているのにベタベタした肌)
  ニキビダニ症
  シュナウザーの面皰症候群
  黒色面皰

⑤過酸化ベンゾイル
  脱脂作用
  角質溶解作用
  毛穴の洗浄
  抗菌作用
  皮膚を乾燥させるので、接触性皮ふ炎をおこすことがあ ります。
  被毛や布が漂白されることがあります
  過酸化ベンゾイルは安定性が低いため、原則として分注や希釈しないで使用すること。


  脂漏性皮膚炎、脂漏を伴う膿皮症
  ニキビダニ症に有用ですが、乾燥しすぎるので、
  コンデイショナーを使ってください

⑥乳酸エチル
  細菌の発生するリバーゼにより乳酸エチルが、エタノールと乳酸に加水分解され、過酸化ベンゾイルと類似した作用をもちます。
 
⑦硫化セレン
  角質溶解作用
  角質形成作用(ケラチンの水素結合を阻害し角化細胞のターンオーバーを阻害する)
  脱脂作用
  皮膚刺激あり
  粘膜や陰嚢には使用しないようにしてください
  染色性があるので、白い毛の犬では被毛が変色することがあります。
  
  
  脂漏性皮膚炎に有用、乾燥に注意


薬用シャンプーの多くは刺激性がありますので、
目にいれないようにご注意ください。
また、皮膚の脂をとるので、
皮ふが乾燥しやすくなりますので、
必ず保湿剤をつかってください。



保湿剤には、

 プロビレングリコール、グリセリン、コロイド状オートミール尿素、乳酸ナトリウム、カルボキシル酸、乳酸

 これらは、角質に水を誘引する吸湿剤(化粧水によくはいっていますよねーー)です。

  コロイド状オートミルーにはかゆみ止め作用もあり、シャンプー剤としても使用されています。皮膚の保湿因子であるセラミドを含んだシャンプーもありますね。乾燥ベタベタでない、皮膚の敏感なワンコさんのシャンプーにおすすめです。皮膚のバリア機能の改善に有用といわれています。

薬用シャンプーをするときの注意点は
 ①保湿剤の使用
 ②目にはいれない
 ③毛の長いワンコさんの場合、毛を短くして、ブラッシングしてから、薬用シャンプーを皮膚に到達させやすくすること
 ④ぬるま湯で被毛や皮表に付着した汚れをおとし、角質に水分をあたえてから、シャンプーをつける
 ⑤薬用シャンプーは手のひらに少量なじませた後、ワンコさんの皮表をマッサージするようにして塗布します。
 ⑥薬用シャンプーと皮膚の接触時間は、薬剤や製品によって異なりますが、5-10分程度、皮ふにつけた状態(つけおき)が大事です。
 ⑦シャンプーを塗布したあとはぬるま湯でシャンプーを完全に洗い流し、余分な水分はタオルやドライヤーで乾燥させること。
 ⑧ドライヤーの温度は熱すぎると皮膚をいため、ワンコさんも嫌がり、シャンプー後にかゆがったりしますので、 冷風で使用したほうがいいですね。あるいは、タオルをかけて、タオルの上からドライヤーで乾燥させることをおすすめします。


グレートピレネー犬のナイトくんのシャンプー