ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

意外に多い脳炎の話

てんかん発作が若い犬におきると、
特発性てんかんを疑いますが、

意外に身近に脳炎が多いといわれています。

たとえば、若いフレンチブルがてんかん発作をおこした場合、特発性てんかんが少ない犬種なので、
脳炎か脳の腫瘍を疑います。

脳炎の原因は
犬の場合は、97%が非感染性の脳炎とジステンパー感染(ワクチンで予防しましょう)


猫の場合は、100%感染性(ウイルス、寄生虫、細菌、真菌感染)です。
FIP(猫伝染性腹膜炎)60%、細菌性、トキソプラズマ

脳炎をおこしやすい犬種は
  チワワ
  パグ
  ヨーキー
  シーズーといった小型犬です。

脳炎(非感染性)の種類は大きくわけて、2種類あります。
74%がGMEという肉芽腫性脳炎といわれています。

①壊死性脳炎
  パグに多いです。
  チワワ、ヨーキーにも
   脳の実質細胞が死んでしまう病気です
 脳炎は進行しますので、治療が必要です
 好発年齢は、0-4歳

症状は、
 てんかん発作
 運動失調(歩けなくなる)
 視覚異常(片方だけ見えていると、歩けます)
 捻転斜頸(首が傾く)
 起立不能(立てなくなる)
 意識レベル低下(ぼーっとしている)

②肉芽腫性髄膜炎(GME)
 眼型(目が見えなくなる) 
 播種型[広く浸潤する)
 巣状型(一か所に病変がかたまる)

 犬種特異性はないですが、ミニチュア・ダックスフンド、トイプードル、ミニピン、といった小型犬が60%、とフレンチブル
、好発年齢は、4-8歳といわれています。(シニアのワンコの場合は、脳腫瘍が多いです)

症状は
 てんかん発作
 運動失調
 視覚異常
 意識レベル低下
 ヨタヨタ歩く
 眼振
 斜頸

なんとなく、元気がなくて、よく吐く、そして、だんだん、神経症状がでる、、、歩けなくなる、、
というふうになっていきます。


検査診断
 血液検査で異常はみつからないことが多いです
 炎症マーカーのCRPも正常
 レントゲン検査も正常

脳脊髄液の検査
 抗GFAP(壊死性脳炎ーパグ脳炎の診断)

CT,MRI
 (脳腫瘍か炎症かどうかの区別がつかない)

確定診断は、解剖による病理検査(剖検)です。(生前は無理ということです)

治療

免役抑制量のプレドニゾロンの内服
(消化管出血や医原性クッシングという内分泌の病気に注意が必要)

免疫抑制剤(かなり高価な薬)
 (腫瘍に注意)

免役抑制の抗悪性腫瘍の抗がん剤
 (骨髄抑制に注意)


東京スカイツリーから)