ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

椎間板ヘルニアは再発しやすい、、

ダックスさんに多い椎間板ヘルニアですが、、

原因は

 背骨の椎間板に変性です。
椎間板が変性していると、軽い衝撃でも椎間板が脱出して、脊髄(神経)の通っている脊柱管の中にでてきて、脊髄を圧迫します。

 
 Mダックス、ビーグル、シーズー、ベキニーズなどの軟骨異栄養性犬種といわれる犬たちは、椎間板ヘルニアを発症する確率が高く、3-5歳の若い時期に発症します。

猫の発症はまれです。

症状は

グレードによって様々です

首のヘルニアですと、首をさわると痛がる
首の筋肉が緊張している、
首を動かさなくなり上目使いになる

腰のヘルニアですと、
抱いたときに痛がる
背中を丸める
背中をふれるのを嫌がる
歩かない

脊髄は脳からの命令を体に各部分に伝える、大きな中枢神経です。(末梢神経と違って、中枢神経は再生しません)
椎間板ヘルニアによって、脊髄が強く圧迫されると、脳からの命令がその部位から後ろに伝わらなくなり麻痺がおきます。
(メインの高速道路の真ん中で道路が寸断されるようなものです。トンネル事故のように)

首のヘルニアですと、
片側の前足と後ろ足の麻痺や、すべての四肢に麻痺が起きます。

麻痺が軽いとふらつきながら歩行しますが、重い場合は歩行できなくなります。

腰のヘルニアでは、前足が障害を受けないため後ろ足の麻痺だけが起きます。後ろ足を動かさず、前足だけで体をひきずって歩きます。また、膀胱が麻痺すると排尿できなくなり、失禁したり、おなかをおすと尿がもれるようになります。
排便も自分の意志でできなくなり、脱糞します。

診断は
神経学的検査
レントゲン検査(椎間板の石灰化、椎間板の間が狭いか)
脊髄造影CT検査(脊髄圧迫部位の特定、全身麻酔で検査)


治療
脊髄の圧迫が軽度で麻痺の症状が軽い場合には、安静と鎮痛剤の投与による保存療法をします。
鎮痛剤により症状がなくなった場合でも、発症後4週間以内はさらに椎間板物質が脱出してくる可能性が高いため安静が必須です。原因の治療ではないので、再発することがあります。
椎間板の脱出は一度におきると限りません。はじめは軽度の症状でも、発症後2-4週間はさらに椎間板が脱出してより重度になる可能性があります。
椎間板はたくさんありますので、一か所だけでなく、ほかの部位にも起こったりします。

根本的な治療は

脊髄を圧迫している椎間板の手術による除去

脊髄のダメージが軽度であれば、予後は良好ですが、重度の場合は足の麻痺や排尿障害などの後遺症が残る場合があります。
痛みの感覚がないような重度の症状の場合には早急な手術が必要ですが、手術をしても改善しない場合があります。
とくに、発症後時間がたってからの手術の効果は下がります。

一番こわいのは、進行性脊髄軟化症を併発することです。
発症時には診断が難しい、発症したら1週間前後の短期間で死亡します。脊髄障害が後ろから頭の上にむかって進行していき、最後は呼吸麻痺になり死亡します。
この病気は残念ながら、治療法はないといわれています。


犬は人間と違って、四足なので、腰が痛くても前足で歩ける、、