腎臓と貧血
腎臓では造血ホルモンがつくられるので、慢性腎不全になると貧血が起きます。
食欲が落ちるので、血液の材料となる鉄が不足します。
歯肉炎があると、炎症サイトカインで、さらに、造血ホルモンが減ります。
尿毒症物質の影響をうけ、赤血球の生存期間が短くなります(悪い赤血球を脾臓が処理してしまうからでしょう)
消化器潰瘍や血小板機能障害などで、赤血球が失われていきます。
こうして、貧血が進むのは、命にかかわりますので、
これは一大事ですよね、、
そこで、腎臓でつくってくれないから、外から造血ホルモンを補充してあげるという方法があります。
エリスロポエチンという薬ですが、
いろいろ問題があります。
・人用のエリスロポエチン製剤しかないこと。
そして、人用のエリスロポエチンで治療をうけますが、
なかには、これに抗体ができてしまって、薬の効果がない犬猫がいること。
副作用は、
鉄欠乏症(鉄を補充してあげないと、注射の効果は低いです)
高血圧
嘔吐、下痢
赤血球ろう(非再生性貧血をおこす)
など
このエリスロポエチンにかわる製剤のダルベポエチンという製剤があります。
これにうまく反応した場合、6週間から7週間で血液の量が増え、その後は減少していったそうです。(東大の内科准教授の大野先生のセミナーで)18週間後にはもとにもどったそうです。(この治療は、まだ研究段階)
エリスロポエチン療法をするときは、
・鉄の補充が大事
・感染や炎症、胃腸の出血のケアが大事
・ビタミンB群の補給(腎臓が悪くなると尿の量が増えますので、排泄されてしまうから)
・ACE阻害剤と水酸化アルミニウム剤を中止する
・高血圧のケア