ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

てんかんという病気part5

アメリカのコーネル大学の神経の専門の教授のセミナーのつづき、、
てんかんのお薬についてご説明いたします。

てんかん薬にはいろいろなものがあります。
昔ながらの
フェノバルビタール
昔からある薬ですが、今でももちろん使用されています。
てんかん犬の60-80%において、単独使用で有効性が報告されているそうです。
作用機序は、GABAに対するニューロン応答性の増強、抗グルタミン酸作用と、ニューロンへのカルシウムの流入抑制です。半減期は40-90時間
維持用量は、定常状態に到達するまでに10-15日間必要とします。
肝臓のミクロソーム酵素を活性化させますので、他の薬の肝臓の代謝も早めます。投与開始してから2-3週間後に血漿濃度の測定をします。
飲み始めた最初のころ、鎮静、多飲多尿、食欲増進といった副作用がでますが、治療開始の数週間以内に回復するといわれています。
脳に腫瘍がある場合は、低用量でも、鎮静作用が強く出る場合があるといわれています。
この薬を飲んでいると、甲状腺ホルモンのFT4,T4の血清濃度が減少します。

②ブロム剤(臭素
犬のみです。猫は禁忌です。
フェノバルビタールで発作をコントロールできないときに、併用します。この薬に限って、突然休薬しても問題は起きないといわれています。
作用機序は、塩素イオンとの競合です。ニューロンの塩素イオンチャネルに競合的に結合し、ニューロン膜電位の過分極を引き起こすと考えらえています。
腎臓で排泄されるので、肝臓の悪い犬(門脈シャント)に投薬します。
維持用量で定常状態に達するには80-120日要します。
発作がとまらない緊急時には、直腸から投与することができます。
副作用は、後肢硬直、運動失調、鎮静、嘔吐、発疹などです。発咳をおこすこともあります。


忘年会のシーズンになりましたね。。