ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

眼圧/緑内障について

犬猫さんにも眼圧が高くなる緑内障があります。
動物の世界にも専門医というシステムがあります。眼科専門医のセミナーにいってまいりました。本日は動物の緑内障について、ご説明します。

緑内障にかかると、視神経がダメージをうけて、失明します。


1)かかりやすい犬種は

柴犬
コッカスパニエル
シーズー
バセットハウンド
ボストンテリア
ジャックラッセ
サモエド
Sハスキー
ケアンテリア
なぜか、雌に多いのです。。。


2)症状は
 目が大きくなる(こうなると、もう失明している可能性が高いです)
 目が異常に充血する
 目を痛がる
 目が青白くなる(角膜の混濁)

高い眼圧が2週間続くと、失明する危険性があります。
片方が緑内障で失明した場合、残った目も1−2年以内で失明する可能性が高いので、視力を残すためにも、残った目のケアがとても大事です。

3)眼圧とは
 個体差があります。検査器具で差異がでます
 25をこえたら、眼圧を下げる点眼が必要ですが、
正常時の眼圧を測って、それが10くらいの子が、18とか20を超えたらやはり、点眼が必要です。
正常時の眼圧を定期健診で把握しておいたほうがいいですね。

眼圧は、朝一番高くなり、夕方低くなります
ですから、病院で測定する時間で変動します。
緊張したり、交感神経で散瞳しますので、それも関係あるでしょう。。。
点眼は、眼圧が朝一番高くなるので、夜22時くらいがよいといわれています。

4)どういう点眼薬があるかといいますと、

 ①副交感神経を刺激する目薬(つまり、縮瞳する)
  ピロカルピン(猫にはダメ!)

 ②房水をつくる量を減らす
   ・ 交感神経β遮断薬(チモロールなど)
   ・ 炭酸脱水酵素阻害薬(エイソプトなど)

 ③房水の排泄を増やす
   ・ プロスタフランジン(キサラタンなど)
      
眼圧をあげる眼房水というものがあるのですが、眼房水は、角膜と水晶体に栄養を届け、老廃物を除去する作用があります。ですが、この眼房水が、ブドウ膜炎などの炎症で排泄できなくなると、眼房水が増えて眼圧が上がります。ですので、房水の量を減らすため、つくる量を減らす、あるいは、ちゃんと排泄できるようにするということです。
水道の蛇口を少ししめる、排泄口のゴミをとって、流れをよくする っということですね。

5)外科的手術
視力が残っている場合のみ、行う手術があります。房水をつくっている毛様体という部分をレーザーで焼いてこわす、エンドレーザーという手術です。非常に高価な手術器具なので、国内では2か所のみしか行っていないそうです。
このほか、房水の排出を促進するための前房シャント術という手術もあります。

6)失明してしまった慢性緑内障になったら
 痛みをとってあげるため
 
・眼球摘出
・ 義眼

義眼をいれる場合、目の感染をおこしていたり、目が大きくなったり、小さくなったりしていたら、できません。また、角膜を残すので、ドライアイになりますので、点眼が必要になります

・薬物による毛様体破壊(ゲンタマイシン)(猫はだめ)

緑内障はこわい病気ですので、眼圧は簡単に測定できますので、お気軽に検診にいらしてくださいね。