ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

中国生まれの猫のチンちゃん、帰国までの210日間の道のり

中国で日本人(わたしの親友)に子猫の時に拾われて、一緒に無事に日本に帰国できたチンちゃんです(本名 チンギョク「珍玉」)。無事に飼い主さんとともに日本に帰国できたのは、飼い主さんの並々ならぬ努力のおかげです。

飼い主さんの膝でまったり至福の時(チンちゃんは、飼い主さん以外にはなつきません。世界で一番、飼い主さんが大好きな猫さんです)

(まだ、2歳で若いのであっちこっちに飛び回っています)

狂犬病汚染国から狂犬病のない日本に、動物と一緒に帰国するには、たいへんな手続きが必要です。お金と時間と手間はかなりのもんです。でも、愛するペットと一緒に帰国したいという、飼い主さんの切実な思いは、ペットにも伝わるでしょう、、

では、中国から無事に日本に猫を連れて帰るためのプロセスと手続きをご紹介します。一番のネックは、狂犬病の抗体価を測定した日から180日間現地にいななければいけないということです。この期間よりも前に帰国すると、動物検疫所で足止め(有料!!)されてしまいます。行きはよいよい、帰りはこわいってことです。しかも、公的証明書が必要なので、それは北京と上海でないと発行してもらえません。

チンちゃんの飼い主さんである、わたしの友人は洛陽の大学で日本語を教えていたので、洛陽に住んでいました。ですが、洛陽では動物輸出の政府発行の証明書をだせないといわれ、やむなく、洛陽から北京に3回も往復しないといけませんでした。
しかも、中国は公共の交通機関に動物をのせることができないので、車と運転手とガイドを雇って1000キロを3往復したとのことです。

1)北京政府指定の動物病院(観賞動物医院)にいって、猫の三種混合ワクチンと狂犬病の予防注射を接種する。そして、マイクロチップをいれてもらう

2)1カ月後に二回目のワクチンをうつ

3)1週間後に狂犬病の抗体価を測定するため、血液をとって、血清をつくる。
その際、その猫からとった血清ですという証明書が必要なので、日本の狂犬病抗体価を測定する研究所のHPから書類をネットでダウンロードして、病院の印鑑をもらうこと。

4)病院から血清を日本の研究所に送ると2000元(3万円くらい)手数料がかかります。
プラス血清の測定費用は12000円です。
友人は、一時帰国する機会があったので、血清をもって帰国して、日本でクール便で血清を研究所に送りました。

狂犬病の抗体価を測定する研究所のHPはこちら
畜産生物科学安全研究所
http://www.riasbt.or.jp/services/test/rabies/rabies.html


5)さて、ここから180日間中国に滞在しないといけません。帰国の日がきまったら、早めに準備しましょう。

6)帰国の40日前までに成田空港の動物検疫所に書類を事前に提出しないといけません。その際に帰国する便名をかくので、飛行機の予約もしておきましょう。

デルタ航空ですと、猫ちゃんは手荷物として機内もちこみできるので(料金は200ドル)
友人はデルタ航空を予約しました。

7)友人は何度も成田空港の動物検疫所へEメールでやりとりをして、必要書類の準備をしたそうです。成田の動物検疫所はたいへん親切だったそうです。

8)帰国する2日前に北京の指定動物病院に健康診断証明書発行してもらう。

病院では、健康診断とフロントラインをつけてもらい、駆虫薬を処方されたそうです。
で、健康診断の証明をもって、病院に2階にある、中国政府の動物検疫所の出張所にいって、動物輸出の手続きをします(動物病院の2階にあるって、すごいですね!!)

9)翌日、検疫所にいって、輸出証明をもらう(1週間前でないといけないそうですが、手数料を払って翌日発行してもらったそうです。やっぱり、「お金」がものいう社会、、かな)

10)いよいよ帰国の当日です。
飛行機会社のチェックインカウンターで手続きに30分かかったそうです(書類をコピーするため)。早めに空港にいきましょう。

11)中国の出国審査と身体検査
金属探知をするゲートのところで、猫ちゃんをかばんからだして、だっこして、ゲートを通過します。そして、猫さんを足元において、ボデイチェックをうけます(猫ちゃんには首輪とリードをつけておきましょう)
そして、係員がなにやら試験紙を猫ちゃんの体につけてチェックしたそうです(なんの検査か不明)

12)登場口まで係員が誘導してくれて、デルタ航空に手荷物として機内持ち込みができたそうです。

13)いよいよ成田空港に到着し、荷物をうけとったら、その側にある、動物検疫所カウンターにいって書類と猫ちゃんをわたします。そして、人間は税関を通って、2階の動物検疫所にいきます。

14)動物検疫所で猫ちゃんの書類をチェックしてもらい、証明書をうけとります。そして、検疫所の診療所で健康チェック(聴診器をあてるだけ、すぐに終わる)をうけて、はれて、チンちゃんは、日本の猫さんになることができました!
飼い主さんの涙の涙の努力のたまものです。
チンちゃん、長生きしてね!!










1