ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

犬の血管肉腫

血管にできる悪性腫瘍のひとつに血管肉腫があります。脾臓(シェバードに多い)、心臓(右心房)、皮膚(被毛の薄く色素の乏しい犬に多い、イタグレなど)に発生します。血管はあらゆるところにありますので、すべての臓器に発生する可能性があります。骨や、眼、神経にもできます。
脾臓の血管肉腫が最も多く、急速に大きくなり広範囲に転移しやすいです。シニアのワンコ(特にシェパード)におきやすく、突然、おなかのなかで、脾臓の血管肉腫が破裂して、倒れたりすることがあります。臨床症状は、よく寝る(シニアのワンコですと、みな、よく寝るので、これだけでは異変に気付かないですね)、食欲不振、おなかを触られることを嫌う、嘔吐、下痢、貧血などです。治療は、脾臓の摘出手術ですが、転移が早い病気なので、あまりよくありません。

次に心臓にできる血管肉腫です。以前飼っていた、GRのベテイ(♂)くん、(HPの写真にでています)がこの病気であっという間に亡くなりました。13歳でしたので、寿命はまっとうしたと思っています。心臓の中にできる腫瘍ですので、外科的手術はかなり困難です。なにやら、あまり歩かない、よく眠る、年のせいかと思っていたのですが、突然倒れて、2週間であっという間でした。肺に転移しやすいので、酸素吸入の必要があります。抗がん剤などの化学療法の結果は様々です。わたしは、13歳のGRでしたので、あえて、抗がん剤は選ばず、対処療法をして、あまりにも苦しんでいたので、最後は安楽死をしました。とても安らかな死顔でしたので、これでよかったと思っています。

皮膚の血管肉腫ですが、最初、良性の血管腫が、数年後に悪性に進行することがあります。
血管腫は大きさが様々で、皮下組織にでき、潰瘍化して出血することがあります。四肢にできやすいです。

血管肉腫は、日光誘発性の腫瘍であるといわれており、被毛の薄く色素の乏しい犬にできやすいです。内臓の血管肉腫の転移の可能性がありますので、予後は様々です。、