ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

子宮蓄膿症

高齢の女の子のワンちゃんによくみられるのが子宮の病気です。猫さんは、ほとんど避妊しているので、この病気はあまりみません。避妊していないワンコさんのみかかる病気です。肝臓や腎臓はとれない臓器ですが、子宮は摘出しても繁殖以外には生命の維持に必要のない臓器ですので、病気になったら、膿のたまった子宮を外科手術によりとりだすのが一番の治療方法です。子宮の病気になりやすい時期があります。それは、発情がおわった後の発情後期の黄体ホルモンの時期です。この間は、高齢なると免疫力がおち、子宮の大腸菌の感染が起こりやすくなります。
黄色いのが子宮の中にあった膿です

こんな膿のはいった子宮がおなかにあったら、気持ち悪いし、おなかも痛いでしょうし(生理痛の比ではないくらい)、ワンコさんも元気がなくなって、食べなくなりますね。
症状は、食欲不振、嘔吐、やたらと水を飲む、元気がなくなる、となります。高齢の避妊していなくて、発情が不明あるいは、発情がだらだらと続く(しかも、異様に臭う、どろっとした血がでる)、発情がおわったあとも食欲がない(通常は発情中は食欲がおちるものですが、おわっても食欲が回復しない)という場合は、この病気が考えられますので、早めに手術が必要です。子宮に膿がたまりすぎますと、体中が細菌感染(敗血症)をおこし、腹膜炎をおこし、急死します。様子をみないで、病院を受診したほうがよいでしょう。(緊急手術ですから、診察時間ギリギリはリスキーです)
予防は、なんといっても、子犬のころの早期の避妊手術です。これにより、乳腺癌と子宮蓄膿症の病気が予防でき、しかも、生理のときのわずらわしさが解消されます。
高齢のワンコさんで、急に皮膚のトラブルが増えてくるのも、この病気のサインです。
通常の避妊でしたら、1泊2日で帰れますし、そのあとも元気にすごしていますが、子宮の病気になりますと、その程度に応じてですが、入院治療が必要となり、また発見の時期で予後も左右されます。
おなかあけるのがかわいそうとおっしゃるオーナー様も多いですが、子犬のときの傷はすごく早く治りますので、翌日には元気に歩いて帰ってくれます。
入院は離れがたいので、子犬の避妊手術を決断できない方も多いです(アメリカでは、ほとんどの犬猫さんが避妊手術してます。生後2カ月でするケースもあるそうです)ですが、高齢になって、子宮の病気になりますと、こういう写真のような大きな子宮を取る場合、通常の避妊手術よりも麻酔時間がかかりますし、なおかつ、高齢である場合、リスクが高くなります。