ベルどうぶつクリニックのブログ

東京都町田市にあるどうぶつ病院ベルどうぶつクリニックです

ネブライザー治療をしてはいけないケース

動物の呼吸器では第一人者の城下先生が書いていますので、ご紹介します。
ご参考にしてください。
城下先生の病院は遠隔治療もしているようです。


適応と禁忌

1)適応
 ネブライザー療法は、上気道疾患の治療、気道二次感染などに対する予防的使用、慢性呼吸器疾患の長期管理に意義があります。
 感染性鼻炎、猫のウイルス性上気道感染症、慢性鼻炎、伝染性気管気管支炎(ケンネルコフ)、左心不全のない慢性気管支炎、鼻腔や咽頭外科手術の周術期管理がよい適応になります。また、猫喘息や猫の慢性気管支炎の長期管理も適応となりますが、ネブライザーではなくpMDIを用いた治療法が確立されようとしています。さらに、中等度までの細菌性気管支肺炎(胸部X線にて肺胞浸潤影が軽度)の治療も適応です。

2)適応とならない疾患
 咳のない呼吸困難を示す場合には、間質性肺疾患が考えられます。この場合、ネブライザー療法は適応とならず、各種薬剤は全身性投与で行います。ヒトでは急性重度喘息発作などで気管支拡張薬のネブライザー療法が他のステロイドなどの全身性投与とあわせて推奨されていますが、獣医臨床では猫喘息の重度発作においてステロイドや気管支拡張薬の全身性投与がまず重要とされ、可能なら気管支拡張薬の吸入をpMDIで行うよう推奨されており、ネブライザー治療は推奨されていません)。


3)禁忌
 心原性肺水腫や重度の細菌性気管支肺炎においては、超音波式ネブライザーによるネブライザー治療は肺胞内にエアロゾルが侵入し、肺胞浸潤を悪化させる可能性が高いので行ってはいけません。その他の非心原性肺水腫も同様に禁忌となります。


咳をしているから、すべて、ネブライザーがいいというわけではありません。心臓に負担がかかる場合もありますので、
ご自宅でネブライザー治療を試みる場合は、ご注意ください。
なお、お電話でのお問い合わせは、業務に支障がでますので、ご容赦ください。